東方二次小説

こちら秘封探偵事務所第8章 地霊殿編   地霊殿編 プロローグ

所属カテゴリー: こちら秘封探偵事務所第8章 地霊殿編

公開日:2017年09月02日 / 最終更新日:2017年09月02日


 夏の地震騒動が過ぎ去り、季節は冬を迎える。
 雪に白く染まった幻想郷が、ひっそりとした静寂に覆われる季節。
 そんな静寂を打ち破った椿事とは――博麗神社の近所に噴き出した、間欠泉だった。

 今回の記録に記す異変は、里の方々はよく知らない方が大半ではないかと思う。
 騒動の根っこにあたる事態が起きていたのは、この幻想郷から隔離された場所だったし、それによってこちらに引き起こされた事態も、博麗神社の近所に限定されていた。
 ただ、この記録を記している現時点において、既に里の方々にもその存在を知られているあのお寺が、幻想郷に現れるきっかけとなったのが、そもそもこの騒動であり――。
 いや、先走ってしまった。里の近所に現れたあのお寺とその住人については、この記録ではなく、その次の記録で詳しく記すことになるだろう。ここでそれについて触れるのはフライングというものである。
 ともかく、現在博麗神社の近所に湧いている温泉ができるきっかけとなったのが、この記録に記す異変――即ち《怨霊異変》と呼ばれる出来事だったのだと、理解していただければいい。

 その主たる舞台となったのは、この幻想郷の地下に広がる異界。
 かつて地獄と呼ばれ、のちに嫌われものの妖怪たちが封じられた場所。
 即ち――地底世界である。
 言うまでもなく、毎回異変のど真ん中に突き進む私たちは、今回もそこにいた。幻想郷の地下、太陽の光の届かない地の底の――賑やかな都に。

 そしてもちろん、今回もまた、この記録は相棒の誇大妄想的推理の物語である。
 前回の地震騒動と同様に、今回も異変の首謀者とその動機は綺麗さっぱり判明している。それどころか、そもそもの原因となった黒幕の正体と目的に至るまで、私たちは推理するまでもなく知ってしまっている。それ自体はなかなかに興味深い物語であり、特に異変の首謀者の物語は感動的な友情譚なので、誰かが小説仕立てにして鈴奈庵から出版すれば、里で人気を呼ぶかもしれない。故にこの記録も、例の異変の真相を記すだけでも充分に、里の方々に喜んでいただける読み物にはなるだろう。
 しかし、それはあくまで表側の物語だ。我々《秘封探偵事務所》が追い求めるのは、真相の裏側にある、世界をもっと面白くする可能性の物語なのだから――。
 故にこれは、例によって真実か否かもわからない、宇佐見蓮子の誇大妄想の物語である。

 さて、それでは語り始めることにしよう。《秘封探偵事務所》第八の事件簿を。
 舞台は雪の舞う地底、そこに広がる嫌われ者の楽園・旧都。
 容疑者は八人。旧都をまとめる鬼、あぶれ者の橋姫、人気者の土蜘蛛、その友達の釣瓶落とし――旧都の陽気で陰気な住人たちと、地底奥深くに佇む怪しげな洋館の主姉妹。そして、灼熱地獄の火焔の中に踊る、黒い翼と赤い猫。
 読者たる貴方がまず挑むべきは、この謎だ。
 即ち――八人の容疑者のうち、相棒の誇大妄想によって解き明かされるのは、誰の謎か?

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