さて、今回の異変についての記録は、これでほぼ終わりである。
結論から言えば、相棒の珍しい配慮はほとんど無意味に終わった。その後も相棒は定期的に堀川雷鼓さんとコンタクトを取り、外の世界の宇佐見菫子さんとおぼしき人物の情報を収集しようとしていたが、どうも外の世界の雷鼓さんのドラムの使用者は、それほど菫子さん(?)と頻繁に顔を合わせるような間柄ではなかったらしい。
「あれからは特に貴女のそっくりさんは見てないわねえ」
得られたのはほぼ一言だけである。やはり外の世界に出ずに情報を集めようという横着が問題であったのだろう。やれやれ。
菫子さんとコンタクトを取る術としては、もうひとつ、二ッ岩マミゾウさんを頼る案も出た。マミゾウさんに伝言を預けて、外の世界の東京下町、門前仲町にある蓮子の祖母宅に住んでいるだろう菫子さんを訪ねてもらうという案である。
――しかし、じゃあ私たちから菫子さんに何を伝えるのだ?
少なくとも現時点で宇佐見菫子さんが幻想郷に姿を見せたという事実はないわけである。私たちが菫子さんの部屋から幻想郷に飛ばされたのは歴とした事実だが、それが菫子さんの仕業と決まったわけではないし、菫子さんが昏睡状態に陥ったというのが幻想郷と関係があるのかどうかさえ定かでない。まして摩多羅隠岐奈さんは、私たちを幻想郷に招いたのは妖怪の賢者、八雲紫であると言っていたわけだし。
「私たちの方から菫子さんにコンタクト取るのって、最悪の場合、宇佐見菫子さんが昏睡状態に陥ったまま亡くなった原因が私たちってことにならない?」
「そうなのよねえ」
おそらく、菫子さんは雷鼓さんのドラムの使用者を通じて、幻想郷の存在には勘づいているのではないか。となるとやはり、菫子さんが昏睡状態になった直接の原因が、幻想郷と関わっている可能性は高い。妹を永遠の眠りにつかせたきっかけが自分の孫だったなんて話になったら、亡くなった蓮子のお祖父さんも浮かばれないだろう。
しかし、いずれにせよ菫子さんは近いうちにこの世界にやってくる可能性が高い。
そのとき、いったい何が起こるのか。
菫子さんが未来の、自分の兄の孫と対面したとき。そして蓮子が、自分よりも歳下の大叔母さんと出会ったとき――。
そんな時間SF的な出来事の予想など、つくはずもないのである。
◇
今回の異変に関わった面々の、その後について簡単に記しておけば――。
針妙丸さんは結局、小槌の魔力の回収が完全な完了してないということで、まだ博麗神社で霊夢さんの監視を受けている。と言っても行動の自由はだいぶ許されているようで、私たちが訪ねたある日には、虫籠は留守になっていた。
「あんまり自由にしちゃってたらまずいんじゃないの? また正邪ちゃんと手を組むかも」
「今回の異変はあいつがあの天の邪鬼に欺されてたせいでしょ。もう目が覚めたんだから、同じ異変は起こさないわよ。天の邪鬼を捕まえて説得したいって言ってるし」
「ふうん。霊夢ちゃん、なんだかんだで一度退治した妖怪には甘いわよね」
「私の邪魔しない限り、一度格付けが済んだ相手を何度も退治したって何の得もありゃしないってだけよ」
空の虫籠をつつきながら、霊夢さんはそんなこと言っていた。なんだかんだ言って霊夢さん、針妙丸さんをわりと可愛がっているように思う。まあ、ペットを愛でるような感覚なのだろうけど。
輝針城はまだ、幻想郷の上空にぷかぷかと浮いている。
いずれ針妙丸さんが霊夢さんの監視から解放されたときには、彼女の住居となるのだろうが、今のところはただ浮いているだけの無人のお城だ。
ひょっとしたら、妖精とかそのへんの野良妖怪に先に占拠されてしまうかもしれないが、どうなることやら。
堀川雷鼓さんはプリズムリバー騒霊楽団への加入を目論んでいるらしいが、今のところ騒霊楽団に四人目のメンバーが加わったという話は聞かない。現在はドラムの妖怪として名を上げるべく、各地でゲリラパフォーマンスを行っているようだ。
彼女が本当に、鬼が新たに作った打ち出の小槌なのか否かは、もちろん不明のままである。
たぶん違うんじゃないかと個人的には思うが、まあ相棒の推理なんてそんなものだろう。
九十九姉妹は、私たちの紹介でミスティアさんと幽谷響子さんの《鳥獣伎楽》に一度は加わったのだが、パンクロックと和楽器の相性はやっぱり良くなかったようで、さっさと退団。今は流浪の和楽器姉妹となっている。たまに秦こころさんの能楽の舞台に伴奏をつける仕事で糊口を凌いでいるらしい。安住の地が見つかることを祈りたい。
そうそう、そもそもの発端になった私たちへの楽器捜索依頼はというと。
「琵琶と琴だけでも見つかったのは何よりだったな」
「和太鼓は見つけられなくてすみません。たぶんどこかで付喪神になってると思いますわ」
「まあ、それは仕方ないさ。よく見つけてきてくれた」
九十九姉妹が身体を乗り換えたことで、元々の彼女たちの身体だった琵琶と琴は元の楽器に戻った。姉妹は脱ぎ捨てた身体にもう愛着はないらしかったが、捨ててまた別の付喪神になっても話がややこしいということで、私たちが引き取って里に戻したわけである。
そんなわけで、慧音さんには「琵琶と琴は今回の異変で付喪神化して消えたようだけど、魔力が抜けて元の楽器に戻っていたのを発見できた。和太鼓は行方不明」として報告した次第。
「またうっかり付喪神にならないように、奏者には大事にするように改めて言っておこう」
「ええ、そうしてあげてくださいな。道具は使われてなんぼですから、仕舞っておくだけじゃなくときどき弾いてあげれば楽器も満足でしょう」
「全くだ。どんなものも死蔵されているだけでは無いのと同じことだな」
――かくして今回の異変は、珍しく我が《秘封探偵事務所》が、ちゃんと依頼を受けて解決したという実績にもなったわけである。きちんと収入もあった。これを常態にできれば、事務所単独で採算が取れる日もいつか……いや、そんな日は永遠に来なさそうだが。
妖怪化しかけた蓮子のトレンチコートは、結局元のただのトレンチコートに戻っている。
「大事にしておけばいつか妖怪化したとき、私のこと守ってくれそうよね」
蓮子はそんなことを言ってトレンチコートの手入れに少し時間をかけるようになったけれど、いったいいつまでそのトレンチコートを着続ける気なのやら。
それはつまり、この《秘封探偵事務所》がいつまで続くのかという話でもあるが……。そんな未来のことは、やっぱり私には解りようもないことである。
ところで、今回の異変にただ巻き込まれただけの野良妖怪サイドでは――。
「あら、蓮子さん、メリーさん、こんにちはー」
「こんにちは。こんなところでどうしたの?」
「いやあ、ちょっと紅魔館にお呼ばれしてね。っていうか……」
霧の湖。紅魔館に遊びに行った帰りに立ち寄ると、水面から顔を出して手を振るわかさぎ姫と、その畔に腰を下ろしてこちらを振り向いた今泉影狼さんの姿がある。ふたりが友達であるのは前々から知っていたけれど――。
もうひとり、意外な顔がそこにあった。
「蛮奇ちゃん? なんでここに?」
「……うるさい。それはこっちの台詞だ」
影狼さんの隣にもうひとり、里在住の飛頭蛮、赤蛮奇さんの姿があった。
「蛮奇ちゃんが私たち草の根妖怪ネットワークに加わってくださいましたの!」
「まだお前らの仲間になるとは言ってない!」
「えー、いいじゃない蛮奇。仲良くやろうよ」
「ベタベタするな! 私は群れるのは嫌いなんだと言っているだろう!」
「情報交換だよ、情報交換。私は竹林、姫は湖と山の麓、蛮奇は里。生活圏がみんなバラバラだからこそ、情報をやりとりするネットワークを作っておいて損はないでしょ? この前の異変みたいなことになったときに、私たちみたいな野良妖怪の生存戦略としてさ」
「そんなものに頼らなくても私はひとりで生きていける」
「そんなの寂しいですわ! 蛮奇ちゃんも一緒に遊びましょう!」
「お前ら単に遊びたいだけだろ!」
「だってふたりだと遊びも限られるんですもの。三人居ればなんとやらと申しますわ」
「派閥ができる、か?」
「文殊の知恵でしょ」
「船頭多くして船山に上るだろう。わかさぎの滝登りだ」
「呉越同舟とも言いますわ」
「お前らに協力する義理はない!」
口ではそんなことを言っているけれど、赤蛮奇さんはその場を立ち去ろうという素振りは見せない。影狼さんとわかさぎ姫はそのへんを理解しているようで、なんだかんだわちゃわちゃと三人で楽しげな会話が弾んでいる。
「あ、そういえば蛮奇ちゃん」
と、蓮子がそこに口を挟んだ。赤蛮奇さんがじろりと振り返って睨む。
「なんだ」
「前に私たちが小傘ちゃんに襲われかけたとき、助けてくれなかった?」
「――――」
蓮子のその問いに、赤蛮奇さんは一瞬押し黙り、ぷいっと顔を背けた。
「……覚えがない」
「えー? 慧音さんと一緒にいたときよ。唐傘お化けから私たちを守ってくれたでしょ?」
「知らん! どうして例の魔力の影響を受けて気が立ってた私が人間を助けるんだ」
「あら? 私、それが例の魔力の騒動のときのことだなんて言ってないけど?」
「――――――」
「例の魔力で凶暴化してたのに私たちを助けてくれたってことは、蛮奇ちゃんやっぱり」
「うるさい! 覚えがないと言っているだろう!」
「そうだよねー、蛮奇はなんだかんだ言って人間好きなんだよねー」
「蛮奇ちゃんは優しいですわ!」
「だーまーれー!」
真っ赤な顔で吼える赤蛮奇さんに、影狼さんとわかさぎ姫の笑いが弾ける。
正邪さんと針妙丸さんの起こした異変は、影狼さんたち野良妖怪にとってはひたすら傍迷惑なだけの異変だっただろうが――被害者の会という形で、こういう新たな繋がりができていくというのは、怪我の功名というべきか。
微笑ましい三人のやりとりに、私と蓮子も顔を見合わせて笑っていた。
そして――主犯の正邪さんは、その後も逃走を続けていた。
いったいどこへ潜伏しているのか、行方が杳として知れないまま、時間だけが過ぎていき。
事態が大きく動いたのは、年が明けて、春先のことになる。
◇
このへんの話は、現地にいなかったので後日の伝聞である。
「正邪を見つけた!」
その一報をもたらしたのは、何の因果か少名針妙丸さんだったという。
「あいつ、小槌の影響が抜けきらなかった道具を集めて、また異変を起こそうとしてるよ! 小槌の魔力の回収が終わらないのもきっとそのせいだよ!」
「ふーん」
針妙丸さんがそう訴えた相手は、言うまでもなく霊夢さんである。しかし、自分に迷惑が掛からないうちは腰が重いのが霊夢さんだ。反応が鈍いのに針妙丸さんが焦れていると、例によって神社に来ていた魔理沙さんと早苗さんの耳にその話が入った。
「この前の天の邪鬼か? あいつまだ逃げてたのかよ」
「そういえば捕まったって話聞きませんでしたもんね」
「魔理沙でもそっちの緑巫女でもいいよ。どんな手を使ってもいいから正邪の奴をいい加減止めてよ。小槌の残りの魔力も返してもらいたいし」
「タダでとはいかないぜ」
「こっちにメリットがないですねえ」
「よーし解った、正邪を捕まえた奴には小槌の力で褒美をとらそう!」
針妙丸さんが小槌を掲げると、魔理沙さんと早苗さんの目の色が変わった。
「褒美ってなんですか?」
「小槌にできないことはないよ! 願いをひとつなんでも叶えてあげよう!」
「おお、神龍みたいですね! ドラゴンボール集めなきゃ!」
「よっしゃ、天の邪鬼ふんじばってくるぜ」
「ふふふ、負けませんよ! 私が天の邪鬼を捕まえて褒美も信仰もガッポリです!」
「ちょっと、あんたらねえ」
「霊夢も協力してよ。別に小槌の魔力、悪いことに使うわけじゃないんだから」
「いや、変な奴の願い叶えることになったらどうするのよ。しょうがないわね」
魔理沙さんと早苗さんが動き出し、霊夢さんも重い腰を上げた。そして幻想郷は狭い。噂が広まるのはあっという間である。数日のうちには、《お尋ね者の天の邪鬼・鬼人正邪を捕縛せよ、どんな手段でも可、捕まえた者には褒美あり》という噂が幻想郷を駆けめぐった。
かくして、正邪さんの逃走劇は、幻想郷中を巻き込んだ天の邪鬼大捕物に発展するのだが、残念ながらその大捕物について詳細を記す紙幅はここにはない。野良妖怪から幻想郷の強者たち、慧音さんや妹紅さんまで参戦した(もちろん褒美目当てではなく、慧音さんは治安維持、妹紅さんは慧音さんの手伝い)というあたりから規模をお察しいただきたい。
こんな、詳細を記すだけで一大エンターテインメントになりそうな大捕物に、なぜ割く紙幅がないかというと――。
私たちはそのとき、別の任務に駆り出されていたからである。
そしてそれは、先日の感情異変から見え隠れしていた、私たち自身の物語へと繋がる――。
私たちと、宇佐見菫子さんを巡る物語の、始まりであった。
◇
そう、それは正邪さんの異変も過去のことになっていた、春先の夜。
何の前触れもなく、彼女は私の前に姿を現した。
「……ん?」
その夜、自宅で眠っていたはずの私は、不意に目を覚まして――自分がまだ夢の中にいるのかと一瞬疑った。なぜなら、そこは自宅ではなく、探偵事務所の中だったからだ。
目を擦り、思わず周囲を見回して、闇に紛れてわかりにくいが確かに探偵事務所の中だということ、そして蓮子の姿が見当たらないということに気付いて――。
次の瞬間、ぼぅ、と闇の中に行灯のような光が灯った。
その揺らめく光の中に、影のように彼女は姿を現した。
「こんばんは、マエリベリー・ハーン。しばらくぶりね」
茫漠とした光の中で、ひどく曖昧な笑みを浮かべたその姿は、私と同じ顔をした妖怪。
妖怪の賢者――八雲紫。
「警戒しないで頂戴。ちょっと貴方とお話がしたくて、貴方にここに来て貰っただけだから」
扇子で口元を隠すようにして、八雲紫はそう言った。
「……家から私をここに連れ出したんですか。蓮子がいたらまずいことでも?」
「ええ、話の内容は彼女にも伝えたいのだけれど、問題があるの。だから貴方の口から私の言ったことを伝えてほしいのよ。頼めるかしら?」
「内容によります」
私の答えに、「ふふ――」と八雲紫は愉しげに目を細める。
「隠岐奈からも聞いていたけれど、貴方も随分、物怖じしなくなったものね。あんなに引っ込み思案で臆病だった貴方が――」
そう呟くように言って、八雲紫はパチンと扇子を閉じる。
「ここに来たのは他でもない。貴方たち《秘封探偵事務所》に、依頼を持ってきたのよ」
「……依頼?」
「そう、お仕事の依頼」
猫のように笑って、八雲紫はそう言った。
どこかで見覚えのある笑顔。いや、見覚えしかない。毎日のように見ている気がする――。
「依頼なら――所長の蓮子に言ってください」
「それができないから、貴方に頼んでいるのよ」
「……どうしてですか? どうして貴方は、宇佐見蓮子の前に姿を現さないんですか?」
あるひとつの予感を覚えながら、私はそう問うた。問いかけるしかなかった。
その問いにどう答えられても、自分がどうすればいいのか解らないまま。
けれど、八雲紫はただ、微笑んで私の問いをはぐらかす。
「仕方ないのよ。そういうものなのだから。――依頼の話を聞いていただけるかしら?」
「……受けるとは限りません」
「あら、それは困ったわね。これを受けてもらわないと、私はとても困ってしまうの」
「――――――」
「ああ、困ったわ。きっと貴方たちも困ってしまうでしょうね」
「……どうして?」
問い返した私に、八雲紫は歪んだような笑みを浮かべて、答える。
「宇佐見菫子」
「――――――」
「貴方たちが求めているその人物へ繋がる糸口を、与えてあげようとしているのよ」
ああ、やはり。
彼女は全てを知っているのだ。
宇佐見菫子さんのこと。あの虫入りの琥珀の謎。《秘封倶楽部》の謎。
――私たちが、この世界に来た意味を。
「あのドラムの付喪神に目をつけたのは悪くない着眼点だったわ。惜しかったわね。あの付喪神は重要な存在ではあるけれど、ひとつのきっかけに過ぎなかった」
「…………」
「もっと大切な存在は、貴方たちの視界の外に隠れているのよ。この幻想郷で、人間の社会の外側にばかり目を向けている貴方たちには決して見えないところに――」
そして、八雲紫は告げる。
私たち《秘封倶楽部》の物語、そのひとつの終幕へと物語が加速する合図を。
「貴方たちへの依頼――それは、ある人間を救うことよ」
【第十三章 輝針城編――了】
and to be continued...
結論から言えば、相棒の珍しい配慮はほとんど無意味に終わった。その後も相棒は定期的に堀川雷鼓さんとコンタクトを取り、外の世界の宇佐見菫子さんとおぼしき人物の情報を収集しようとしていたが、どうも外の世界の雷鼓さんのドラムの使用者は、それほど菫子さん(?)と頻繁に顔を合わせるような間柄ではなかったらしい。
「あれからは特に貴女のそっくりさんは見てないわねえ」
得られたのはほぼ一言だけである。やはり外の世界に出ずに情報を集めようという横着が問題であったのだろう。やれやれ。
菫子さんとコンタクトを取る術としては、もうひとつ、二ッ岩マミゾウさんを頼る案も出た。マミゾウさんに伝言を預けて、外の世界の東京下町、門前仲町にある蓮子の祖母宅に住んでいるだろう菫子さんを訪ねてもらうという案である。
――しかし、じゃあ私たちから菫子さんに何を伝えるのだ?
少なくとも現時点で宇佐見菫子さんが幻想郷に姿を見せたという事実はないわけである。私たちが菫子さんの部屋から幻想郷に飛ばされたのは歴とした事実だが、それが菫子さんの仕業と決まったわけではないし、菫子さんが昏睡状態に陥ったというのが幻想郷と関係があるのかどうかさえ定かでない。まして摩多羅隠岐奈さんは、私たちを幻想郷に招いたのは妖怪の賢者、八雲紫であると言っていたわけだし。
「私たちの方から菫子さんにコンタクト取るのって、最悪の場合、宇佐見菫子さんが昏睡状態に陥ったまま亡くなった原因が私たちってことにならない?」
「そうなのよねえ」
おそらく、菫子さんは雷鼓さんのドラムの使用者を通じて、幻想郷の存在には勘づいているのではないか。となるとやはり、菫子さんが昏睡状態になった直接の原因が、幻想郷と関わっている可能性は高い。妹を永遠の眠りにつかせたきっかけが自分の孫だったなんて話になったら、亡くなった蓮子のお祖父さんも浮かばれないだろう。
しかし、いずれにせよ菫子さんは近いうちにこの世界にやってくる可能性が高い。
そのとき、いったい何が起こるのか。
菫子さんが未来の、自分の兄の孫と対面したとき。そして蓮子が、自分よりも歳下の大叔母さんと出会ったとき――。
そんな時間SF的な出来事の予想など、つくはずもないのである。
◇
今回の異変に関わった面々の、その後について簡単に記しておけば――。
針妙丸さんは結局、小槌の魔力の回収が完全な完了してないということで、まだ博麗神社で霊夢さんの監視を受けている。と言っても行動の自由はだいぶ許されているようで、私たちが訪ねたある日には、虫籠は留守になっていた。
「あんまり自由にしちゃってたらまずいんじゃないの? また正邪ちゃんと手を組むかも」
「今回の異変はあいつがあの天の邪鬼に欺されてたせいでしょ。もう目が覚めたんだから、同じ異変は起こさないわよ。天の邪鬼を捕まえて説得したいって言ってるし」
「ふうん。霊夢ちゃん、なんだかんだで一度退治した妖怪には甘いわよね」
「私の邪魔しない限り、一度格付けが済んだ相手を何度も退治したって何の得もありゃしないってだけよ」
空の虫籠をつつきながら、霊夢さんはそんなこと言っていた。なんだかんだ言って霊夢さん、針妙丸さんをわりと可愛がっているように思う。まあ、ペットを愛でるような感覚なのだろうけど。
輝針城はまだ、幻想郷の上空にぷかぷかと浮いている。
いずれ針妙丸さんが霊夢さんの監視から解放されたときには、彼女の住居となるのだろうが、今のところはただ浮いているだけの無人のお城だ。
ひょっとしたら、妖精とかそのへんの野良妖怪に先に占拠されてしまうかもしれないが、どうなることやら。
堀川雷鼓さんはプリズムリバー騒霊楽団への加入を目論んでいるらしいが、今のところ騒霊楽団に四人目のメンバーが加わったという話は聞かない。現在はドラムの妖怪として名を上げるべく、各地でゲリラパフォーマンスを行っているようだ。
彼女が本当に、鬼が新たに作った打ち出の小槌なのか否かは、もちろん不明のままである。
たぶん違うんじゃないかと個人的には思うが、まあ相棒の推理なんてそんなものだろう。
九十九姉妹は、私たちの紹介でミスティアさんと幽谷響子さんの《鳥獣伎楽》に一度は加わったのだが、パンクロックと和楽器の相性はやっぱり良くなかったようで、さっさと退団。今は流浪の和楽器姉妹となっている。たまに秦こころさんの能楽の舞台に伴奏をつける仕事で糊口を凌いでいるらしい。安住の地が見つかることを祈りたい。
そうそう、そもそもの発端になった私たちへの楽器捜索依頼はというと。
「琵琶と琴だけでも見つかったのは何よりだったな」
「和太鼓は見つけられなくてすみません。たぶんどこかで付喪神になってると思いますわ」
「まあ、それは仕方ないさ。よく見つけてきてくれた」
九十九姉妹が身体を乗り換えたことで、元々の彼女たちの身体だった琵琶と琴は元の楽器に戻った。姉妹は脱ぎ捨てた身体にもう愛着はないらしかったが、捨ててまた別の付喪神になっても話がややこしいということで、私たちが引き取って里に戻したわけである。
そんなわけで、慧音さんには「琵琶と琴は今回の異変で付喪神化して消えたようだけど、魔力が抜けて元の楽器に戻っていたのを発見できた。和太鼓は行方不明」として報告した次第。
「またうっかり付喪神にならないように、奏者には大事にするように改めて言っておこう」
「ええ、そうしてあげてくださいな。道具は使われてなんぼですから、仕舞っておくだけじゃなくときどき弾いてあげれば楽器も満足でしょう」
「全くだ。どんなものも死蔵されているだけでは無いのと同じことだな」
――かくして今回の異変は、珍しく我が《秘封探偵事務所》が、ちゃんと依頼を受けて解決したという実績にもなったわけである。きちんと収入もあった。これを常態にできれば、事務所単独で採算が取れる日もいつか……いや、そんな日は永遠に来なさそうだが。
妖怪化しかけた蓮子のトレンチコートは、結局元のただのトレンチコートに戻っている。
「大事にしておけばいつか妖怪化したとき、私のこと守ってくれそうよね」
蓮子はそんなことを言ってトレンチコートの手入れに少し時間をかけるようになったけれど、いったいいつまでそのトレンチコートを着続ける気なのやら。
それはつまり、この《秘封探偵事務所》がいつまで続くのかという話でもあるが……。そんな未来のことは、やっぱり私には解りようもないことである。
ところで、今回の異変にただ巻き込まれただけの野良妖怪サイドでは――。
「あら、蓮子さん、メリーさん、こんにちはー」
「こんにちは。こんなところでどうしたの?」
「いやあ、ちょっと紅魔館にお呼ばれしてね。っていうか……」
霧の湖。紅魔館に遊びに行った帰りに立ち寄ると、水面から顔を出して手を振るわかさぎ姫と、その畔に腰を下ろしてこちらを振り向いた今泉影狼さんの姿がある。ふたりが友達であるのは前々から知っていたけれど――。
もうひとり、意外な顔がそこにあった。
「蛮奇ちゃん? なんでここに?」
「……うるさい。それはこっちの台詞だ」
影狼さんの隣にもうひとり、里在住の飛頭蛮、赤蛮奇さんの姿があった。
「蛮奇ちゃんが私たち草の根妖怪ネットワークに加わってくださいましたの!」
「まだお前らの仲間になるとは言ってない!」
「えー、いいじゃない蛮奇。仲良くやろうよ」
「ベタベタするな! 私は群れるのは嫌いなんだと言っているだろう!」
「情報交換だよ、情報交換。私は竹林、姫は湖と山の麓、蛮奇は里。生活圏がみんなバラバラだからこそ、情報をやりとりするネットワークを作っておいて損はないでしょ? この前の異変みたいなことになったときに、私たちみたいな野良妖怪の生存戦略としてさ」
「そんなものに頼らなくても私はひとりで生きていける」
「そんなの寂しいですわ! 蛮奇ちゃんも一緒に遊びましょう!」
「お前ら単に遊びたいだけだろ!」
「だってふたりだと遊びも限られるんですもの。三人居ればなんとやらと申しますわ」
「派閥ができる、か?」
「文殊の知恵でしょ」
「船頭多くして船山に上るだろう。わかさぎの滝登りだ」
「呉越同舟とも言いますわ」
「お前らに協力する義理はない!」
口ではそんなことを言っているけれど、赤蛮奇さんはその場を立ち去ろうという素振りは見せない。影狼さんとわかさぎ姫はそのへんを理解しているようで、なんだかんだわちゃわちゃと三人で楽しげな会話が弾んでいる。
「あ、そういえば蛮奇ちゃん」
と、蓮子がそこに口を挟んだ。赤蛮奇さんがじろりと振り返って睨む。
「なんだ」
「前に私たちが小傘ちゃんに襲われかけたとき、助けてくれなかった?」
「――――」
蓮子のその問いに、赤蛮奇さんは一瞬押し黙り、ぷいっと顔を背けた。
「……覚えがない」
「えー? 慧音さんと一緒にいたときよ。唐傘お化けから私たちを守ってくれたでしょ?」
「知らん! どうして例の魔力の影響を受けて気が立ってた私が人間を助けるんだ」
「あら? 私、それが例の魔力の騒動のときのことだなんて言ってないけど?」
「――――――」
「例の魔力で凶暴化してたのに私たちを助けてくれたってことは、蛮奇ちゃんやっぱり」
「うるさい! 覚えがないと言っているだろう!」
「そうだよねー、蛮奇はなんだかんだ言って人間好きなんだよねー」
「蛮奇ちゃんは優しいですわ!」
「だーまーれー!」
真っ赤な顔で吼える赤蛮奇さんに、影狼さんとわかさぎ姫の笑いが弾ける。
正邪さんと針妙丸さんの起こした異変は、影狼さんたち野良妖怪にとってはひたすら傍迷惑なだけの異変だっただろうが――被害者の会という形で、こういう新たな繋がりができていくというのは、怪我の功名というべきか。
微笑ましい三人のやりとりに、私と蓮子も顔を見合わせて笑っていた。
そして――主犯の正邪さんは、その後も逃走を続けていた。
いったいどこへ潜伏しているのか、行方が杳として知れないまま、時間だけが過ぎていき。
事態が大きく動いたのは、年が明けて、春先のことになる。
◇
このへんの話は、現地にいなかったので後日の伝聞である。
「正邪を見つけた!」
その一報をもたらしたのは、何の因果か少名針妙丸さんだったという。
「あいつ、小槌の影響が抜けきらなかった道具を集めて、また異変を起こそうとしてるよ! 小槌の魔力の回収が終わらないのもきっとそのせいだよ!」
「ふーん」
針妙丸さんがそう訴えた相手は、言うまでもなく霊夢さんである。しかし、自分に迷惑が掛からないうちは腰が重いのが霊夢さんだ。反応が鈍いのに針妙丸さんが焦れていると、例によって神社に来ていた魔理沙さんと早苗さんの耳にその話が入った。
「この前の天の邪鬼か? あいつまだ逃げてたのかよ」
「そういえば捕まったって話聞きませんでしたもんね」
「魔理沙でもそっちの緑巫女でもいいよ。どんな手を使ってもいいから正邪の奴をいい加減止めてよ。小槌の残りの魔力も返してもらいたいし」
「タダでとはいかないぜ」
「こっちにメリットがないですねえ」
「よーし解った、正邪を捕まえた奴には小槌の力で褒美をとらそう!」
針妙丸さんが小槌を掲げると、魔理沙さんと早苗さんの目の色が変わった。
「褒美ってなんですか?」
「小槌にできないことはないよ! 願いをひとつなんでも叶えてあげよう!」
「おお、神龍みたいですね! ドラゴンボール集めなきゃ!」
「よっしゃ、天の邪鬼ふんじばってくるぜ」
「ふふふ、負けませんよ! 私が天の邪鬼を捕まえて褒美も信仰もガッポリです!」
「ちょっと、あんたらねえ」
「霊夢も協力してよ。別に小槌の魔力、悪いことに使うわけじゃないんだから」
「いや、変な奴の願い叶えることになったらどうするのよ。しょうがないわね」
魔理沙さんと早苗さんが動き出し、霊夢さんも重い腰を上げた。そして幻想郷は狭い。噂が広まるのはあっという間である。数日のうちには、《お尋ね者の天の邪鬼・鬼人正邪を捕縛せよ、どんな手段でも可、捕まえた者には褒美あり》という噂が幻想郷を駆けめぐった。
かくして、正邪さんの逃走劇は、幻想郷中を巻き込んだ天の邪鬼大捕物に発展するのだが、残念ながらその大捕物について詳細を記す紙幅はここにはない。野良妖怪から幻想郷の強者たち、慧音さんや妹紅さんまで参戦した(もちろん褒美目当てではなく、慧音さんは治安維持、妹紅さんは慧音さんの手伝い)というあたりから規模をお察しいただきたい。
こんな、詳細を記すだけで一大エンターテインメントになりそうな大捕物に、なぜ割く紙幅がないかというと――。
私たちはそのとき、別の任務に駆り出されていたからである。
そしてそれは、先日の感情異変から見え隠れしていた、私たち自身の物語へと繋がる――。
私たちと、宇佐見菫子さんを巡る物語の、始まりであった。
◇
そう、それは正邪さんの異変も過去のことになっていた、春先の夜。
何の前触れもなく、彼女は私の前に姿を現した。
「……ん?」
その夜、自宅で眠っていたはずの私は、不意に目を覚まして――自分がまだ夢の中にいるのかと一瞬疑った。なぜなら、そこは自宅ではなく、探偵事務所の中だったからだ。
目を擦り、思わず周囲を見回して、闇に紛れてわかりにくいが確かに探偵事務所の中だということ、そして蓮子の姿が見当たらないということに気付いて――。
次の瞬間、ぼぅ、と闇の中に行灯のような光が灯った。
その揺らめく光の中に、影のように彼女は姿を現した。
「こんばんは、マエリベリー・ハーン。しばらくぶりね」
茫漠とした光の中で、ひどく曖昧な笑みを浮かべたその姿は、私と同じ顔をした妖怪。
妖怪の賢者――八雲紫。
「警戒しないで頂戴。ちょっと貴方とお話がしたくて、貴方にここに来て貰っただけだから」
扇子で口元を隠すようにして、八雲紫はそう言った。
「……家から私をここに連れ出したんですか。蓮子がいたらまずいことでも?」
「ええ、話の内容は彼女にも伝えたいのだけれど、問題があるの。だから貴方の口から私の言ったことを伝えてほしいのよ。頼めるかしら?」
「内容によります」
私の答えに、「ふふ――」と八雲紫は愉しげに目を細める。
「隠岐奈からも聞いていたけれど、貴方も随分、物怖じしなくなったものね。あんなに引っ込み思案で臆病だった貴方が――」
そう呟くように言って、八雲紫はパチンと扇子を閉じる。
「ここに来たのは他でもない。貴方たち《秘封探偵事務所》に、依頼を持ってきたのよ」
「……依頼?」
「そう、お仕事の依頼」
猫のように笑って、八雲紫はそう言った。
どこかで見覚えのある笑顔。いや、見覚えしかない。毎日のように見ている気がする――。
「依頼なら――所長の蓮子に言ってください」
「それができないから、貴方に頼んでいるのよ」
「……どうしてですか? どうして貴方は、宇佐見蓮子の前に姿を現さないんですか?」
あるひとつの予感を覚えながら、私はそう問うた。問いかけるしかなかった。
その問いにどう答えられても、自分がどうすればいいのか解らないまま。
けれど、八雲紫はただ、微笑んで私の問いをはぐらかす。
「仕方ないのよ。そういうものなのだから。――依頼の話を聞いていただけるかしら?」
「……受けるとは限りません」
「あら、それは困ったわね。これを受けてもらわないと、私はとても困ってしまうの」
「――――――」
「ああ、困ったわ。きっと貴方たちも困ってしまうでしょうね」
「……どうして?」
問い返した私に、八雲紫は歪んだような笑みを浮かべて、答える。
「宇佐見菫子」
「――――――」
「貴方たちが求めているその人物へ繋がる糸口を、与えてあげようとしているのよ」
ああ、やはり。
彼女は全てを知っているのだ。
宇佐見菫子さんのこと。あの虫入りの琥珀の謎。《秘封倶楽部》の謎。
――私たちが、この世界に来た意味を。
「あのドラムの付喪神に目をつけたのは悪くない着眼点だったわ。惜しかったわね。あの付喪神は重要な存在ではあるけれど、ひとつのきっかけに過ぎなかった」
「…………」
「もっと大切な存在は、貴方たちの視界の外に隠れているのよ。この幻想郷で、人間の社会の外側にばかり目を向けている貴方たちには決して見えないところに――」
そして、八雲紫は告げる。
私たち《秘封倶楽部》の物語、そのひとつの終幕へと物語が加速する合図を。
「貴方たちへの依頼――それは、ある人間を救うことよ」
【第十三章 輝針城編――了】
and to be continued...
第13章 輝針城編 一覧
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素晴らしい作品をありがとうございました。
輝針城は、私にとって、思い出の作品であったのでとても楽しく読むことが出来ました。また、作品などを探求することの楽しさを再度学ぶが出来ました。
次がラストですか、、、楽しみに待っています!
紫さんの言葉の意味ってどうなんでしょう?
つまり、妖怪ではなく、人間なのかな?
ワンチャン、、、ワンチャン易者さん生存ルート!?
まぁ、書籍を読まないにわかなので、よくわかんないですけどね。
易者さんの弟子って存在するのかな?
【あとがき】
毎度どうも、浅木原です。ここまでお読みいただきありがとうございます。
特に今回は今までになく挑戦状の回のコメントが多く、推理に挑んでいただけて嬉しいです。
驚き納得していただけたなら幸いですが、はてさて。
シリーズとしても結末に向かいはじめる関係で、
全体のストーリーと輝針城の謎解き、弾幕アマノジャクネタをどこまで含めるかとか
いろいろ悩みどころさんが多くて今回はいささか難産でした。
どうにかこうにか形になってほっと一息というところ……。
というわけで、次はいよいよシリーズ最終章「深秘録編」です。
このシリーズだけでなく、《少女秘封録》などでも書き続けてきた、
自作内の秘封倶楽部と八雲紫と幻想郷をめぐる謎の総決算になると思います。
なるといいな。なるんじゃないかな。なるように頑張ろう。
決着点は一応決まってるのですが、そこにたどり着くまでがどうなることか……。
そんなわけで次回連載開始は今のところ未定です。じっくり準備してから始めたいので……。
輝針城編の書籍版が出るまでには始めたいところですが、はてさて。
ちょっと間が空くことになると思いますが、最終章までお付き合いいただければ幸いです。
続きお待ちしてます!
輝針城編も相変わらず面白かったです。
次編で最後が本当に残念ですが、楽しみにしています。
輝針城編お疲れ様でしたー。
宇佐見菫子、秘封倶楽部の謎に関わりそうな幕引きで次が凄い気になります…!
個人的には紫が蓮子の前に現れないのは、紫がメリーと定義されてしまうからなのではと考えてます…!
幻想郷という世界であるからこそ、紫が妖怪として扱われている間は妖怪で、蓮子にあった瞬間にメリーと定義されるからなのでは…と他の秘封倶楽部の小説を読んで常々考えておりますw
いつも考察の斜め上をいかれて悔しいので、次回はもっと楽しめるよう、もう一度このシリーズを読み返してこようと思います…!
最後に、次回も楽しみにしております!
今回も素晴らしかったです。
次が最後か…結末を知りたいけどもうすぐ終わりだと思うと寂しい…
そして最後の紫の発言が気になるなー、次回を楽しみにしてます。
今回も楽しませていただきましたありがとうございました。
また謎を多く残した終わり方を……気になりますね。八雲紫とは何者なのか、救って欲しい人物とは誰なのか、目を向けるべき人間側の物とは何なのか、そして菫子の部屋に遺された虫入りの琥珀の意味。気になる情報が多くて堪りません。
紫の正体については常々考えていますが、はてさて。
1、メリーと連子の融合した姿説
2、メリーが連子を失って妖怪化した姿説
3、メリーの先祖説
4、妖怪化した連子がメリーの姿に化けている説
5、紫はメリーの影で表裏一体の存在説
6、幻想郷自体が二人の長い夢説
くらいなら考えられるのですが、物語の先は作者のみぞ知る。私の想像力程度ではここまでが限界です。紫の正体に関しては各々の納得いく形を描くのがベスト、と。
次も楽しみにしています。この命続く限りいつまでも。
お疲れ様です!
次回で最終というのは寂しいですが、楽しみにしてます!
紫と秘封の関係・・・・うーん、いろいろ意見があるけど、やはり最後まで読んでから、考えます(色々と)。
最後のは、半ばちょいちょい出ていた小鈴の件かな?
今作は原作が幻想郷最大の危機と銘打ってましたが、秘封探偵としては一番危機感が薄いというか緩い感じがありました。大体蓮子の危機感のなさが私自身に影響されたのだと思います。
次はいよいよクライマックスである深秘録編ですね。終わりが近いと寂しくなりますが、最後まで結末を見届けようと思います。
輝針城編お疲れ様でございました。
今までの様なスッキリした終わり方ではなく、次の記録に繋がる終わり方に少し震えを感じました。
そして、おそらく異変の謎を1から解く側としては最後になりうるのではないかと思うと少し寂しい気もします。
紫の依頼「ある人を助けてほしい」の対象は菫子なのか。それとも幻想郷の住人の誰かなのか。
そもそもなぜ「依頼」という形で話してきたのか。
この依頼の本当の狙いは何なのか。
何故メリーには、菫子に会わせる、時々現れては言葉を残す等するのに、蓮子の前には現れずひた隠すのか。
終わりが近いのに何一つ手掛かりがない事が凄くもどかしく感じてしまうのと同時に、次の記録で終わってしまう事がすごく残念とも思っています。
深秘録編。いつまでも楽しみに待っています。
倉田ヴェルムート星呑さん
私は2だと思います。そして‥易者さん生きてn(死亡)
幻想郷の人間社会内にいて紫が手をさしのべる人間というと小鈴ちゃんしか思い浮かばない
しかし彼女だとしたら深秘録とどう繋がるのやら
投稿お疲れ様です!
自分の推理はてんで的外れでしたw
次回が最終章と言う事で、非常に残念ではありますが、同時に迚も楽しみでもあります。
作者様が納得いくまで詰めて貰ってから読みたいので、以津真天でも待ちますよ。
作者様のコメントを読んでですが、秘封倶楽部と八雲紫の関係とても興味深いです。なぜ、蓮子だけが、姿を見ては行けないのか?なぜ容姿が似ているのか?そこへの答えがあると考えるととても楽しみです。なぜ秘封倶楽部という名前が日記にあったのか?もしくはメリー=紫なのか?そうすると、妖々夢編の琥珀と同じ疑問がでてきますしね。
どっかで境界をねじ曲げたか、、、
よく考えると、助けるべき人は、小鈴ちゃんかもしれませんね。まあ前回のコメントから私が考えた他愛もない推理は外してしまいましたし、好奇心がどっかの誰かさんみたいに欠落してたそうですしね。
(易者さん生存の望み絶たれる)
まぁ菫子と交信してたのは、弟子ですから、、、
本当の弟子なのか、誰かのなりすましなのか
そして、私がずっと疑問だった
「なぜ誰も認知出来ない境界を暴くのが禁止されてるか」
という事にもつながるのかな?
言い忘れましたが、八雲紫とメリーの関係の推理を軽く述べます。
私は、八雲紫とメリーは同じものから分かれた存在であると思います。
この推理は、非想天則編の認識の話と地霊殿編を根底にして考えています。まず、地霊殿編の時異変を起こした原因として挙がったのが、こいしがさとり妖怪としてのアイデンティティを失って、消失するのを防ぐみたいな感じだったと思います。では、すきま妖怪のアイデンティティとは?と考えた時に、私は、何かの境界が自分自身になければいけないのではないかと思いました。境界とは、あるひとつのものを分けるものと考えると八雲紫はなんの境界があるのかと考えると
エンティティ、、、つまり存在の境界です。
メリーは、すきま妖怪として生きるための紫の半身なのではないかと思いました。そして幻想郷の理として、認識が強く関係すると考えると、紫=メリーがみんなの認識になると境界がなくなり、二人とも消失するのではないかと考えました。
輝針城編お疲れ様です!おもしろかったです!
やっぱり蓮子→紫なのかな?
深秘録編が来る前に外伝見て、また最初に戻って無限ループ♾
今回も、面白かったです!!次回完結かぁ。寂しいですね。期待して待っています!
お疲れ様です! 今回も大変面白かったです!
次回最終章とのことで、ちょっとした予想を。
自分は、紫さんの正体は、蓮子だと考えています。
根拠は、だいぶメタな話になりますが、輝針城編エピローグで、
紫さんが「猫のように笑って」というシーンがあることです。
猫のような笑みは、作者が蓮子の笑顔に対してよく使う表現であり、
メリーの「毎日のように見ている気がする」という表現も、
蓮子の笑顔と解釈すれば納得できます。
また、緋想天編 第11話でも、紫さんが「猫のように笑った」シーンがあります。
もう1つ、作者がコメントで、「自作内の秘封倶楽部と八雲紫と幻想郷をめぐる謎の総決算になる」
と言われていることです。
作者の過去作、「ひふ~ふ」の紫さんの正体は、おそらく別世界の蓮子でしたし、
「ひふ~ふ」とリンクしている、狐独のグルメ Season 2「外の世界のけつねうどんとおにぎり」でも、
藍さまが紫さんの気配を、メリーでなく蓮子から感じている描写があります。
どちらも別作品ですが、自作内の総決算ということなので無関係ではないと思います。
ただ、正確な関係性までは予想できていません。
未来の蓮子なのか、別世界の蓮子なのか、はたまた分身のような存在なのか、
なんにせよ、紫さんと蓮子には何らかの関係性があり、二人が遭遇しないのも
その辺に理由があると思っています。
長くなりましたが、自分の予想でした。
八雲紫の猫のように笑うのは…10話で蓮子の言った「私の意識がメリーの肉体に移ったら〜別の何者か」っていう台詞、もしかして伏線だったりするんでしょうか…妄想にもなりませんけど…
物語の終わりが怖いですが、続きが気になって仕方ありません。
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