それ以降、花の異変は自然消滅するように、ゆっくりと収束に向かっていった。
咲き乱れていた花はぽつりぽつりと姿を消していき、やがて普段通りの幻想郷の姿が戻って来る。もともと、大量の季節外れの花など存在しなかったかのように。
何も残さず、ただ現れ消えていった花の幽霊たち。故に、この異変の記憶はやがて薄れていくのだろう。そして六十年も経つ頃には、もう誰の記憶にも残らない。
ただ、それだけのことだ。
けれど、この異変が人為的なものであった以上、その収束もまた、人為的なものである。
その原因と結果を結びつけて考える人がいないだけで――。
私はここに、起きた事実を記しておこう。
相棒が太陽の畑で風見幽香さんに推理を語った、その翌日。
太陽の畑から、あれだけ咲いていた向日葵が、忽然と姿を消したということを。
――そしてそれを聞いて、相棒がこの異変の事後従犯の存在に気づいたということを。
◇
「かつて、幻想郷がまだ貧しい寒村だった頃、ここは間引きの場だったそうです」
数日後、私たちはまた阿求さんに誘われて、里の外へと足を運んでいた。今度の行き先は里からやや南西寄りに進んだ先にある、小高い丘。里からは途中の林が邪魔をして、その存在自体が直接見えない、隠れるような場所だ。
そこには、一面の鈴蘭畑が広がっていた。
「名も付けられなかった幼子が、ここに捨てられると、鈴蘭の毒で眠るように亡くなったと言います。そして死体は妖怪が片付けて、跡形も残らない……。だけど、稀に奇特な妖怪がまだ生きている赤子を拾って、妖怪として育てることもあったそうです」
外の世界でいうと、狼少女みたいな話か。あれはほぼ創作であったということで決着がついていたはずだが、それが幻想郷に流れ着いてそういう物語になったのかもしれない、などということを私は思う。
「親も我が子が死ぬところなど見たくないし、捨てた子にもできれば生きていて欲しい。たとえ妖怪になっても……それを願って、ここに捨てたという、悲しいお話です」
それを親の身勝手と言うのは簡単だが、私たちの常識で貧しい農村の論理を批判しても仕方ない。事実かどうかはさておき、私はただ心の中で捨てられた赤子に手を合わせるだけである。
「それでいつしか人間は近付かなくなり、人間が来なくなると妖怪も現れなくなり……今ではすっかり、忘れられた場所ですね。あ、鈴蘭畑の中には入らない方がいいですよ、毒にやられますから」
「おっと、そうですね」
足を踏み入れようとしていた相棒を、阿求さんが押しとどめる。全く、命知らずもいい加減にしてほしい。私は隣でため息。
――と、不意に目の前の鈴蘭畑ががさがさとざわめいた。
「失礼ね! スーさんには私がいるのよ!」
そんな声とともに、ぴょこんと鈴蘭畑から姿を現したのは、
「……人形?」
「人形ですね」
少女の姿をしたビスクドールだった。身長は一メートル弱ぐらいだろうか。球体関節はともかく、表情まで変わるとはなんと高性能な……じゃない。アリスさんが近くにいるのかと思って周囲を見回してみたが、その姿は見当たらなかった。ということは、
「あらあら、人形の妖怪さん?」
相棒の言葉に、人形の少女は「そうよ」と胸を張る。
「スーさんが私に力をくれるの。で、人間がここに何の用?」
「いえいえ、ちょっとお花見にね。スーさんっていうのは、この鈴蘭畑のこと?」
「そうよ。貴方も毒を浴びてみる?」
「それはちょっと遠慮したいわねえ」
「遠慮しなくていいのよ?」
にっ、と人形の少女は笑った。あ、これはまずい。私たちは顔を見合わせ、さすがの相棒も危険を感じたか、三人揃って脱兎のごとくその場から走り出す。「あ、逃げるなー!」と少女の声が聞こえたが、私たちは無力な人間、三十六計逃げるにしかずである。
丘を転げるように駆け下り、鈴蘭畑が見えなくなったところで林の中に逃げ込んで、荒い息をついた。苦しそうな阿求さんの背中を蓮子がさすっている。
「……どうやら、捨てられた人形が鈴蘭の毒で妖怪化したようですね。あの様子だと、まだ年若い妖怪でしょう。ああいう妖怪が一番危険です。まして毒人形となれば……」
落ち着いたらしい阿求さんがそう呟いた。藍さんや幽香さんのように、無闇と人間を襲わないだけの分別を身につけていないということだろう。肝が冷えた。私はため息をついて相棒を見やる。相棒は「私のせいじゃないわよ」と肩を竦めた。
「でも、妖怪化した人形ねえ……」
「どうしたの、蓮子」
「いや、アリスさん的にはどうなのかしら、って。妖怪化した人形は、彼女の目指す自立人形に入るのかしら?」
「……さあ。アリスさんに今度訊いてみる?」
「そうねえ」
――ちなみに後日実際に訊いてみたところ、アリスさんの目標は「その心も身体も全て自分で創る」ことだそうなので、妖怪化した人形は貴重なサンプルではあるが、彼女の目標とするものそのものではないそうである。
ともかく、私たちがそんなことを言い合っていると、不意に近くから足音。まさかさっきの人形がここまで追いかけてきたのか――と私たちは身構えたが、
「……あれ、貴方たちここで何してるの?」
通りがかったのは、永遠亭の鈴仙さんである。
「あら、鈴仙さん。私たちはお花見中だけど、そちらは?」
「お花見ねえ。もうそろそろ、この花の騒ぎも終わりじゃない? 竹林に咲いてた花は、あの騒霊楽団が来たあとにほとんど消えちゃったし……」
「あら、騒霊楽団が永遠亭にも来たの?」
「うちの近くでライブしていったわよ。兎と姫様が大喜びだったからいいんだけど」
「あらあら、混ざりたかったわね。で、鈴仙さんはここに何の用?」
「……鈴蘭畑に取引相手がいるの。それじゃね」
話を強引に打ち切るようにして、鈴仙さんは立ち去っていく。取引相手?
「ああ、たぶん永琳さんが毒を集めてるのね、薬用に」
なるほど。鈴蘭の毒からどんな薬が作れるのか、薬学を知らない私には判らないけれど、それもまた鈴仙さんが里に配って回る置き薬の何かに変わるのだろう。
「で、私たちはどうするの?」
「どうするって、そりゃあクライアントの意向次第で。阿求さん、どうします?」
「そうですねえ。さっきの毒人形の取材は、永遠亭の兎からでいいでしょうし……」
阿求さんが首を傾げていると、今度は不意に――音楽が聞こえてきた。
私たちは顔を上げる。頭上を飛んでいくのは、プリズムリバー三姉妹だ。先頭のルナサさんのバイオリンを主旋律に、いつもより控えめなメルランさんのトランペットと、脇役に徹するリリカさんのキーボード。華々しくもどこか静謐な音色を奏でて飛んでいく騒霊楽団の背後には、いくつもの幽霊が連なっている。
まるで、ハーメルンの笛吹きのように。
「今日は鈴蘭畑でライブかしら」
相棒が帽子の庇を持ち上げ、そう呟いた。そのことの意味を、私たちはもう知っている。
鈴蘭は今が開花時期のはずだから、あの鈴蘭畑の全てが幽霊の花ということはないだろう。ただきっと、あの中にも幽霊の花は紛れ込んでいたのだ。そして――。
騒霊楽団の音色に惹かれて、幽霊は集まってくる。それは私たちがあの日、廃洋館で見た光景だ。そして、騒霊楽団は今、幻想郷中を巡るライブツアーを敢行している。つまりは、そういうことだ。
風見幽香さんが起こした花の異変は、騒霊楽団のライブツアーによって収束する。
騒霊楽団の音色が、花の幽霊を集め、そしてどこかへと運んでいく。それが彼岸なのか、それとも別のどこかなのかは解らない。おそらく、幽香さんとの間に何らかの協力関係が結ばれているのだろう。新聞記事によれば、彼女たちのライブツアーは、太陽の畑から始まったのだから。
「阿求さん、聞きに行きます?」
「いえ、またあの毒人形と出くわしても危険ですし、帰りましょうか」
「了解です。……この異変も、そろそろ終わりそうですね」
蓮子がそう声をかけると、阿求さんは「そうですね」と頷き、太陽の畑の方角に目を細めた。
「今回の異変は、記録に残すんですか?」
「博麗霊夢に関する記事の片隅にでも記しておきますよ。幻想郷的には、その程度の小さな異変ですから」
「なるほど――それじゃあ、風見幽香さんのことは?」
「幽香さん? リクエスト通り、恐ろしい妖怪と書きますよ」
阿求さんはただ、微笑んでそう答える。
それが、幻想郷の真実となるのだろう。記録されない事実は歴史に残らないのだから、この異変の真実もまた、花の記憶とともに歴史に埋もれ、忘却の彼方へ消えていくのだ。六十年後、また幻想郷が花で埋まる日まで。
花好きの妖怪がその首謀者でもあることも、騒霊楽団がそれに協力していることも――そして、ひょっとしたらその異変が、阿礼乙女のために起こされたものであることも……。
だからこそ、相棒の推理は誇大妄想であり、与太話なのだ。阿求さんが記録し、慧音さんが編纂する歴史ことが事実である限りにおいて。
私がここに記している物語は、あくまで物語に過ぎないのだから。
「あ、妖精」
帰り道を歩く途中、いつぞやの氷精の子が飛んでいるのを見かけた。傍らにはサイドポニーの髪型をした妖精の子を連れている。楽しそうに笑いながら飛んでいく妖精の姿を見送っていると、相棒が不意に小さく唸って、「……まさか、ねえ」と呟いた。
「なに?」
「あー、いや、単なる思いつき。何の証拠もないんだけど」
と、相棒は声を潜めて、私にそっと耳打ちする。
「……風見幽香さんって、ひょっとしたら、妖精なんじゃないかって」
「ええ?」
「チルノちゃんが言ってたでしょ。妖精がいるから花が咲くんだって。それなら、花を愛し、花を咲かせる妖怪の正体は、ものすごい力をつけた妖精なんじゃないかって、思ったのよ。それに――」
「それに?」
「チルノちゃんって、自分が最強だって言い張ってたでしょ? 幽香さんが阿求さんに、自分を恐ろしく強い妖怪だって売り込むのも、根っこは同じなんじゃないかって」
なんだそれは。
「……幽香さんに直接聞いてみたら?」
「いやいやいや、それは流石に、殺されそうだからパス。ただの思いつきよ」
全く。私はため息をつく。相棒の妄想癖もここまで来ると病気かもしれない。
「何の話です?」
阿求さんが首を傾げる。「いえいえ、こっちの話です、乙女の内緒話」と相棒は笑って誤魔化した。――阿求さんは、相棒のこの説を聞かせたらどんな反応をするのだろう、と一瞬思ったけれど、それは言わぬが花というものであろう。
◇
と、このあたりで今回の物語を終えるのが、美しい結末ではあるのだろうが――。
その帰り道の途中で、私たちは全くもって思わぬ顔に出くわした。
「戦闘能力のない人間三人で里の外を出歩くとは、感心しませんね」
「えっ、閻魔様!?」
突然背後からかけられた声に、相棒が振り向いてのけぞる。いつの間にか、私たちの背後に現れていたのは、四季映姫さん――閻魔様だ。なんでこんなところに。
「閻魔様、これはどうも、お久しぶりです」
阿求さんがぺこりと頭を下げる。そういえば阿礼乙女は転生期間中、閻魔様の下で働いていると言っていたっけ。閻魔様も微笑む。
「元気にしているようですね」
「はい、それはもう。閻魔様はお仕事は?」
「今はもうひとりの閻魔の当番です。なので、幻想郷の様子を見て回っています。主に、先日説教をした相手の様子を」
そう言って、閻魔様はじろりと蓮子を睨む。「う」と蓮子はたじろいだ。
「宇佐見蓮子!」
「は、はい!」
「貴方には相変わらず、自分が弱者だという自覚が足りないようですね。先ほども生まれたばかりの妖怪に襲われかけたでしょう。そのような生の綱渡りを冒険と称して楽しむような心根は、やがて破滅を引き寄せる。貴方だけでなく、貴方の相棒まで巻き込むのですよ。そのことを自覚して身の程を弁えなさいと言ったはずですが?」
「いえいえ、そうは言いましても今回は阿求さんのお誘いで」
「言い訳は無用! 貴方のその危機感の欠如こそが罪なのです!」
ぺし。手にした棒で閻魔様は蓮子の額を叩く。「私の灰色の脳細胞があ」と蓮子は呻く。
「いいですか、人間はどんなことにも慣れる生き物なのです。危険にさえも、日常的に身を浸していれば慣れてしまい、慢心を呼びます。大工が高いところから落ち、職漁師が溺れるように。慢心に気づいたときには遅いのです。日頃から身を引き締め、己の能力に対して謙虚さを失わないことが、結局は寿命を伸ばすのです。里の外を出歩くなとは言いません、妖怪相手に知的好奇心を満たすのもいいでしょう、しかし自分たちだけは絶対に安全だ、などという慢心は必ず身に返ってくる。そう、貴方には謙虚さが足りない!」
ぺしぺしぺし。「痛い痛い、ひ~」と悲鳴をあげてしゃがみこんだ蓮子に、閻魔様はひとつ息を吐いて、それから私の方を振り返る。
「マエリベリー・ハーン! 貴方もこの宇佐見蓮子に依存していては、彼女の慢心に巻き込まれて身を滅ぼしますよ。それを承知で彼女のそばに居るというならばそれは貴方の自由ですが、だからと言って彼女の慢心を傍観しているだけでは貴方も同罪です」
ぺし。私も額を叩かれた。痛い。
「貴方には人並みの危機感があるのですから、せめて貴方は彼女のブレーキ役になってあげなさい。今までもそうしてきた、と思っているのでしょうが、貴方はいつも彼女に押しきられているでしょう。貴方はもっと宇佐見蓮子に対して自己主張するべきなのです。貴方は宇佐見蓮子の従属物ではない。貴方と宇佐見蓮子は対等なのだから、子供のように彼女に引きずられるだけでない関係を築くことを心がけることです。この宇佐見蓮子という無謀な人間を守れるのは、他のどんな人間でも妖怪でもなく、マエリベリー・ハーン、貴方なのですから」
「――――」
私は目をしばたたかせて、小柄な閻魔様を見下ろす。
――私が、蓮子を守る?
「ふたりとも、解りましたか」
「は、はひぃ」
「……はい」
「よろしい。貴方たちを裁く日が来ないことを祈っています。それでは」
嵐のように去って行く閻魔様を見送って、相棒はずり落ちた帽子を被り直して息を吐く。傍らで阿求さんが楽しげに笑った。
「酷い目に遭ったわ」
「ご愁傷様です。でも、閻魔様の言うことは聞いておいた方がいいですよ。彼女は間違ったことは言いませんし、相手のことを考えて休みのときまでわざわざああして説教をして歩いているのですから」
「ありがた迷惑ってやつですわ」
「閻魔様の言う通りよ。素直に謙虚さを持ちなさいってば」
肩を竦める相棒の頬を、私はつねる。「いひゃいいひゃい」と悲鳴をあげる蓮子に、私はため息をついて――閻魔様の言葉を、心の中で反芻する。
――宇佐見蓮子を守れるのは、他のどんな人間でも妖怪でもなく、私。
本当に、そんなことがあるのだろうか?
解らない。解らないけれど――。
「ほら、妖怪に襲われないうちに帰りましょ」
私は蓮子の手を取って、そう言った。
相棒は目をしばたたかせて私の顔を見つめ、「――そうね」と苦笑して頷いた。
これが依存なのか、それ以外の感情なのか、私には判らないけれど。
宇佐見蓮子の隣が、今までもこれからも、私の定位置なのだ。この幻想郷でも。
いつか京都に帰る日が来ても、あるいはずっとこの世界で暮らすとしても。
どうか、宇佐見蓮子とともにあれますように――。
騒霊楽団の音色が、遠くから響き渡る。
花の幽霊が、その音に連れられて、どこかへと消えていく。
巡る季節。繰り返される死と再生。世界は何度も生まれ変わっていく。
そのサイクルの中に生きる私たちもまた、生きながら生まれ変わっているのかもしれない。
相棒の手を握りしめて歩きながら、私は風になびく髪を押さえた。
どこからか飛んできた花びらが、風に舞いあがって、空の彼方へ消えていった。
【こちら秘封探偵事務所 花映塚編――了】
咲き乱れていた花はぽつりぽつりと姿を消していき、やがて普段通りの幻想郷の姿が戻って来る。もともと、大量の季節外れの花など存在しなかったかのように。
何も残さず、ただ現れ消えていった花の幽霊たち。故に、この異変の記憶はやがて薄れていくのだろう。そして六十年も経つ頃には、もう誰の記憶にも残らない。
ただ、それだけのことだ。
けれど、この異変が人為的なものであった以上、その収束もまた、人為的なものである。
その原因と結果を結びつけて考える人がいないだけで――。
私はここに、起きた事実を記しておこう。
相棒が太陽の畑で風見幽香さんに推理を語った、その翌日。
太陽の畑から、あれだけ咲いていた向日葵が、忽然と姿を消したということを。
――そしてそれを聞いて、相棒がこの異変の事後従犯の存在に気づいたということを。
◇
「かつて、幻想郷がまだ貧しい寒村だった頃、ここは間引きの場だったそうです」
数日後、私たちはまた阿求さんに誘われて、里の外へと足を運んでいた。今度の行き先は里からやや南西寄りに進んだ先にある、小高い丘。里からは途中の林が邪魔をして、その存在自体が直接見えない、隠れるような場所だ。
そこには、一面の鈴蘭畑が広がっていた。
「名も付けられなかった幼子が、ここに捨てられると、鈴蘭の毒で眠るように亡くなったと言います。そして死体は妖怪が片付けて、跡形も残らない……。だけど、稀に奇特な妖怪がまだ生きている赤子を拾って、妖怪として育てることもあったそうです」
外の世界でいうと、狼少女みたいな話か。あれはほぼ創作であったということで決着がついていたはずだが、それが幻想郷に流れ着いてそういう物語になったのかもしれない、などということを私は思う。
「親も我が子が死ぬところなど見たくないし、捨てた子にもできれば生きていて欲しい。たとえ妖怪になっても……それを願って、ここに捨てたという、悲しいお話です」
それを親の身勝手と言うのは簡単だが、私たちの常識で貧しい農村の論理を批判しても仕方ない。事実かどうかはさておき、私はただ心の中で捨てられた赤子に手を合わせるだけである。
「それでいつしか人間は近付かなくなり、人間が来なくなると妖怪も現れなくなり……今ではすっかり、忘れられた場所ですね。あ、鈴蘭畑の中には入らない方がいいですよ、毒にやられますから」
「おっと、そうですね」
足を踏み入れようとしていた相棒を、阿求さんが押しとどめる。全く、命知らずもいい加減にしてほしい。私は隣でため息。
――と、不意に目の前の鈴蘭畑ががさがさとざわめいた。
「失礼ね! スーさんには私がいるのよ!」
そんな声とともに、ぴょこんと鈴蘭畑から姿を現したのは、
「……人形?」
「人形ですね」
少女の姿をしたビスクドールだった。身長は一メートル弱ぐらいだろうか。球体関節はともかく、表情まで変わるとはなんと高性能な……じゃない。アリスさんが近くにいるのかと思って周囲を見回してみたが、その姿は見当たらなかった。ということは、
「あらあら、人形の妖怪さん?」
相棒の言葉に、人形の少女は「そうよ」と胸を張る。
「スーさんが私に力をくれるの。で、人間がここに何の用?」
「いえいえ、ちょっとお花見にね。スーさんっていうのは、この鈴蘭畑のこと?」
「そうよ。貴方も毒を浴びてみる?」
「それはちょっと遠慮したいわねえ」
「遠慮しなくていいのよ?」
にっ、と人形の少女は笑った。あ、これはまずい。私たちは顔を見合わせ、さすがの相棒も危険を感じたか、三人揃って脱兎のごとくその場から走り出す。「あ、逃げるなー!」と少女の声が聞こえたが、私たちは無力な人間、三十六計逃げるにしかずである。
丘を転げるように駆け下り、鈴蘭畑が見えなくなったところで林の中に逃げ込んで、荒い息をついた。苦しそうな阿求さんの背中を蓮子がさすっている。
「……どうやら、捨てられた人形が鈴蘭の毒で妖怪化したようですね。あの様子だと、まだ年若い妖怪でしょう。ああいう妖怪が一番危険です。まして毒人形となれば……」
落ち着いたらしい阿求さんがそう呟いた。藍さんや幽香さんのように、無闇と人間を襲わないだけの分別を身につけていないということだろう。肝が冷えた。私はため息をついて相棒を見やる。相棒は「私のせいじゃないわよ」と肩を竦めた。
「でも、妖怪化した人形ねえ……」
「どうしたの、蓮子」
「いや、アリスさん的にはどうなのかしら、って。妖怪化した人形は、彼女の目指す自立人形に入るのかしら?」
「……さあ。アリスさんに今度訊いてみる?」
「そうねえ」
――ちなみに後日実際に訊いてみたところ、アリスさんの目標は「その心も身体も全て自分で創る」ことだそうなので、妖怪化した人形は貴重なサンプルではあるが、彼女の目標とするものそのものではないそうである。
ともかく、私たちがそんなことを言い合っていると、不意に近くから足音。まさかさっきの人形がここまで追いかけてきたのか――と私たちは身構えたが、
「……あれ、貴方たちここで何してるの?」
通りがかったのは、永遠亭の鈴仙さんである。
「あら、鈴仙さん。私たちはお花見中だけど、そちらは?」
「お花見ねえ。もうそろそろ、この花の騒ぎも終わりじゃない? 竹林に咲いてた花は、あの騒霊楽団が来たあとにほとんど消えちゃったし……」
「あら、騒霊楽団が永遠亭にも来たの?」
「うちの近くでライブしていったわよ。兎と姫様が大喜びだったからいいんだけど」
「あらあら、混ざりたかったわね。で、鈴仙さんはここに何の用?」
「……鈴蘭畑に取引相手がいるの。それじゃね」
話を強引に打ち切るようにして、鈴仙さんは立ち去っていく。取引相手?
「ああ、たぶん永琳さんが毒を集めてるのね、薬用に」
なるほど。鈴蘭の毒からどんな薬が作れるのか、薬学を知らない私には判らないけれど、それもまた鈴仙さんが里に配って回る置き薬の何かに変わるのだろう。
「で、私たちはどうするの?」
「どうするって、そりゃあクライアントの意向次第で。阿求さん、どうします?」
「そうですねえ。さっきの毒人形の取材は、永遠亭の兎からでいいでしょうし……」
阿求さんが首を傾げていると、今度は不意に――音楽が聞こえてきた。
私たちは顔を上げる。頭上を飛んでいくのは、プリズムリバー三姉妹だ。先頭のルナサさんのバイオリンを主旋律に、いつもより控えめなメルランさんのトランペットと、脇役に徹するリリカさんのキーボード。華々しくもどこか静謐な音色を奏でて飛んでいく騒霊楽団の背後には、いくつもの幽霊が連なっている。
まるで、ハーメルンの笛吹きのように。
「今日は鈴蘭畑でライブかしら」
相棒が帽子の庇を持ち上げ、そう呟いた。そのことの意味を、私たちはもう知っている。
鈴蘭は今が開花時期のはずだから、あの鈴蘭畑の全てが幽霊の花ということはないだろう。ただきっと、あの中にも幽霊の花は紛れ込んでいたのだ。そして――。
騒霊楽団の音色に惹かれて、幽霊は集まってくる。それは私たちがあの日、廃洋館で見た光景だ。そして、騒霊楽団は今、幻想郷中を巡るライブツアーを敢行している。つまりは、そういうことだ。
風見幽香さんが起こした花の異変は、騒霊楽団のライブツアーによって収束する。
騒霊楽団の音色が、花の幽霊を集め、そしてどこかへと運んでいく。それが彼岸なのか、それとも別のどこかなのかは解らない。おそらく、幽香さんとの間に何らかの協力関係が結ばれているのだろう。新聞記事によれば、彼女たちのライブツアーは、太陽の畑から始まったのだから。
「阿求さん、聞きに行きます?」
「いえ、またあの毒人形と出くわしても危険ですし、帰りましょうか」
「了解です。……この異変も、そろそろ終わりそうですね」
蓮子がそう声をかけると、阿求さんは「そうですね」と頷き、太陽の畑の方角に目を細めた。
「今回の異変は、記録に残すんですか?」
「博麗霊夢に関する記事の片隅にでも記しておきますよ。幻想郷的には、その程度の小さな異変ですから」
「なるほど――それじゃあ、風見幽香さんのことは?」
「幽香さん? リクエスト通り、恐ろしい妖怪と書きますよ」
阿求さんはただ、微笑んでそう答える。
それが、幻想郷の真実となるのだろう。記録されない事実は歴史に残らないのだから、この異変の真実もまた、花の記憶とともに歴史に埋もれ、忘却の彼方へ消えていくのだ。六十年後、また幻想郷が花で埋まる日まで。
花好きの妖怪がその首謀者でもあることも、騒霊楽団がそれに協力していることも――そして、ひょっとしたらその異変が、阿礼乙女のために起こされたものであることも……。
だからこそ、相棒の推理は誇大妄想であり、与太話なのだ。阿求さんが記録し、慧音さんが編纂する歴史ことが事実である限りにおいて。
私がここに記している物語は、あくまで物語に過ぎないのだから。
「あ、妖精」
帰り道を歩く途中、いつぞやの氷精の子が飛んでいるのを見かけた。傍らにはサイドポニーの髪型をした妖精の子を連れている。楽しそうに笑いながら飛んでいく妖精の姿を見送っていると、相棒が不意に小さく唸って、「……まさか、ねえ」と呟いた。
「なに?」
「あー、いや、単なる思いつき。何の証拠もないんだけど」
と、相棒は声を潜めて、私にそっと耳打ちする。
「……風見幽香さんって、ひょっとしたら、妖精なんじゃないかって」
「ええ?」
「チルノちゃんが言ってたでしょ。妖精がいるから花が咲くんだって。それなら、花を愛し、花を咲かせる妖怪の正体は、ものすごい力をつけた妖精なんじゃないかって、思ったのよ。それに――」
「それに?」
「チルノちゃんって、自分が最強だって言い張ってたでしょ? 幽香さんが阿求さんに、自分を恐ろしく強い妖怪だって売り込むのも、根っこは同じなんじゃないかって」
なんだそれは。
「……幽香さんに直接聞いてみたら?」
「いやいやいや、それは流石に、殺されそうだからパス。ただの思いつきよ」
全く。私はため息をつく。相棒の妄想癖もここまで来ると病気かもしれない。
「何の話です?」
阿求さんが首を傾げる。「いえいえ、こっちの話です、乙女の内緒話」と相棒は笑って誤魔化した。――阿求さんは、相棒のこの説を聞かせたらどんな反応をするのだろう、と一瞬思ったけれど、それは言わぬが花というものであろう。
◇
と、このあたりで今回の物語を終えるのが、美しい結末ではあるのだろうが――。
その帰り道の途中で、私たちは全くもって思わぬ顔に出くわした。
「戦闘能力のない人間三人で里の外を出歩くとは、感心しませんね」
「えっ、閻魔様!?」
突然背後からかけられた声に、相棒が振り向いてのけぞる。いつの間にか、私たちの背後に現れていたのは、四季映姫さん――閻魔様だ。なんでこんなところに。
「閻魔様、これはどうも、お久しぶりです」
阿求さんがぺこりと頭を下げる。そういえば阿礼乙女は転生期間中、閻魔様の下で働いていると言っていたっけ。閻魔様も微笑む。
「元気にしているようですね」
「はい、それはもう。閻魔様はお仕事は?」
「今はもうひとりの閻魔の当番です。なので、幻想郷の様子を見て回っています。主に、先日説教をした相手の様子を」
そう言って、閻魔様はじろりと蓮子を睨む。「う」と蓮子はたじろいだ。
「宇佐見蓮子!」
「は、はい!」
「貴方には相変わらず、自分が弱者だという自覚が足りないようですね。先ほども生まれたばかりの妖怪に襲われかけたでしょう。そのような生の綱渡りを冒険と称して楽しむような心根は、やがて破滅を引き寄せる。貴方だけでなく、貴方の相棒まで巻き込むのですよ。そのことを自覚して身の程を弁えなさいと言ったはずですが?」
「いえいえ、そうは言いましても今回は阿求さんのお誘いで」
「言い訳は無用! 貴方のその危機感の欠如こそが罪なのです!」
ぺし。手にした棒で閻魔様は蓮子の額を叩く。「私の灰色の脳細胞があ」と蓮子は呻く。
「いいですか、人間はどんなことにも慣れる生き物なのです。危険にさえも、日常的に身を浸していれば慣れてしまい、慢心を呼びます。大工が高いところから落ち、職漁師が溺れるように。慢心に気づいたときには遅いのです。日頃から身を引き締め、己の能力に対して謙虚さを失わないことが、結局は寿命を伸ばすのです。里の外を出歩くなとは言いません、妖怪相手に知的好奇心を満たすのもいいでしょう、しかし自分たちだけは絶対に安全だ、などという慢心は必ず身に返ってくる。そう、貴方には謙虚さが足りない!」
ぺしぺしぺし。「痛い痛い、ひ~」と悲鳴をあげてしゃがみこんだ蓮子に、閻魔様はひとつ息を吐いて、それから私の方を振り返る。
「マエリベリー・ハーン! 貴方もこの宇佐見蓮子に依存していては、彼女の慢心に巻き込まれて身を滅ぼしますよ。それを承知で彼女のそばに居るというならばそれは貴方の自由ですが、だからと言って彼女の慢心を傍観しているだけでは貴方も同罪です」
ぺし。私も額を叩かれた。痛い。
「貴方には人並みの危機感があるのですから、せめて貴方は彼女のブレーキ役になってあげなさい。今までもそうしてきた、と思っているのでしょうが、貴方はいつも彼女に押しきられているでしょう。貴方はもっと宇佐見蓮子に対して自己主張するべきなのです。貴方は宇佐見蓮子の従属物ではない。貴方と宇佐見蓮子は対等なのだから、子供のように彼女に引きずられるだけでない関係を築くことを心がけることです。この宇佐見蓮子という無謀な人間を守れるのは、他のどんな人間でも妖怪でもなく、マエリベリー・ハーン、貴方なのですから」
「――――」
私は目をしばたたかせて、小柄な閻魔様を見下ろす。
――私が、蓮子を守る?
「ふたりとも、解りましたか」
「は、はひぃ」
「……はい」
「よろしい。貴方たちを裁く日が来ないことを祈っています。それでは」
嵐のように去って行く閻魔様を見送って、相棒はずり落ちた帽子を被り直して息を吐く。傍らで阿求さんが楽しげに笑った。
「酷い目に遭ったわ」
「ご愁傷様です。でも、閻魔様の言うことは聞いておいた方がいいですよ。彼女は間違ったことは言いませんし、相手のことを考えて休みのときまでわざわざああして説教をして歩いているのですから」
「ありがた迷惑ってやつですわ」
「閻魔様の言う通りよ。素直に謙虚さを持ちなさいってば」
肩を竦める相棒の頬を、私はつねる。「いひゃいいひゃい」と悲鳴をあげる蓮子に、私はため息をついて――閻魔様の言葉を、心の中で反芻する。
――宇佐見蓮子を守れるのは、他のどんな人間でも妖怪でもなく、私。
本当に、そんなことがあるのだろうか?
解らない。解らないけれど――。
「ほら、妖怪に襲われないうちに帰りましょ」
私は蓮子の手を取って、そう言った。
相棒は目をしばたたかせて私の顔を見つめ、「――そうね」と苦笑して頷いた。
これが依存なのか、それ以外の感情なのか、私には判らないけれど。
宇佐見蓮子の隣が、今までもこれからも、私の定位置なのだ。この幻想郷でも。
いつか京都に帰る日が来ても、あるいはずっとこの世界で暮らすとしても。
どうか、宇佐見蓮子とともにあれますように――。
騒霊楽団の音色が、遠くから響き渡る。
花の幽霊が、その音に連れられて、どこかへと消えていく。
巡る季節。繰り返される死と再生。世界は何度も生まれ変わっていく。
そのサイクルの中に生きる私たちもまた、生きながら生まれ変わっているのかもしれない。
相棒の手を握りしめて歩きながら、私は風になびく髪を押さえた。
どこからか飛んできた花びらが、風に舞いあがって、空の彼方へ消えていった。
【こちら秘封探偵事務所 花映塚編――了】
第5章 花映塚編 一覧
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【あとがき】
毎度、ここまでお読みいただきありがとうございました。作者の浅木原忍です。
花映塚の異変に関しては入手困難な『東方紫香花』で語られている部分もあり、
そのへんの設定をどこまで導入するか悩みましたが、結局こういう風になりました。
いつもとちょっと毛色も変えてみましたが、お楽しみいただけましたなら幸いです。
幽香と阿求の関係については、
自分の過去作(東方創想話の「記憶の花」「花の記憶」、同人誌『悠久の花』など)とは
独立したものとして受け取っていただければ幸いです。
幽あきゅはいいぞ。
次は風神録編の予定です。12月半ばぐらいまでには連載開始したいですが予定は未定。
ともあれ、次もまたよろしくお願いします。
蓮メリはお互いに唯一無二の存在。この関係がどこまで続くのでしょうか…。
花映塚完結おめでとうございます。風神録いつまでも楽しみにしております。
花映塚編、完結おめでとうございます。
蓮子とメリーの関係はやはり尊い。
風神録では幻想郷の外から来た早苗が登場するのでどのような話があるのか楽しみです。
あ、文花帖は無いんだ
ロマンチックですね。阿礼の子は寿命が短く、転生してまた咲く。風見幽花にとっては愛でるべきお花の一つなんですね。蓮メリだけでなく、阿求と幽花で甘々なお話でした。あと映姫様の閻魔様ぶりが良かったです。
花映塚編お疲れ様でした~。ロマンチックな話ばかりでしたね~確かプリズムリバーさんの四女(作品では説明だけの)レイラさんが生み出したものでしたね。陰ながら浅木様を応援しております
読了しました。
異変の真相と幻想郷の真実、対してその超常的現象に俗世の人間の認識と視野でもって推察を広げる外来人の対比が渋い味わいの作品でした。
今いる異質な世界の出来事に対し、人間―それも外にある普通の世界の者の価値観で推理したが故に、
人為的で局所的な「犯行」という結論に達した二人のその人間的な認識で我々に伝えられる展開に、どこか身近な感覚すら覚えました。
もう少し縮めて言うと、幻想郷の真実と人間の認識との表裏一体のようなズレ方が、毛色が違うようでありとても東方らしくもある不思議な後味を覚えるものでした。
例えるなら、妖精のイタズラ。妖精にとっては遊んでいる、人間にとっては襲われている。そういう東方に欠かせない認識の表裏。
結局人為的な犯行と断定したまま去ってしまった二人の外来人ですが、それゆえに異世界の奔流に巻き込まれずに済んで良かったのかもしれませんね。その歯がゆさすら心地良い、印象的な作品でした。
強いて気がかりな点を挙げるなら、二人の推察が前面に出ているのと幻想郷の蘇生という重要なキーワードが秘匿されているために、真実を語った閻魔様の存在感がちょっぴり蚊帳の外になっているところでしょうか。とはいえこのへんは設定の悩みどころの一つ、ということでしょうね。
RPGのような旅をしている気分に浸れました。これからもコッソリ応援しています!
読了しました。
異変の真相と幻想郷の真実、対してその超常的現象に俗世の人間の認識と視野でもって推察を広げる外来人の対比が渋い味わいの作品でした。
今いる異質な世界の出来事に対し、人間―それも外にある普通の世界の者の価値観で推理したが故に、
人為的で局所的な「犯行」という結論に達した二人のその人間的な認識で我々に伝えられる展開に、
どこか身近な感覚すら覚えました。
もう少し縮めて言うと、幻想郷の真実と人間の認識との表裏一体のようなズレ方が、
毛色が違うようでありとても東方らしくもある不思議な後味を覚えるものでした。
例えるなら、妖精のイタズラ。妖精にとっては遊んでいる、人間にとっては襲われている。
そういう東方に欠かせない認識の表裏。
結局人為的な犯行と断定したまま去ってしまった二人の外来人ですが、
それゆえに異世界の奔流に巻き込まれずに済んで良かったのかもしれませんね。その歯がゆさすら心地良い、印象的な作品でした。
強いて気がかりな点を挙げるなら、二人の推察が前面に出ているのと幻想郷の蘇生という重要なキーワードが秘匿されているために、真実を語った閻魔様の存在感がちょっぴり蚊帳の外になっているところでしょうか。
とはいえこのへんは設定の悩みどころの一つ、ということでしょうね。
RPGのような旅をしている気分に浸れました。これからもコッソリ応援しています!
(改行が反映されてなくて読みづらかったので再投稿させていただきました(汗)
大変楽しく読ませていただきました。素晴らしい作品をありがとうございます。
映姫様が秘封の二人とどう接するか、個人的に気になっていたのですが、
厳しいながらも優しさのこもった内容のお説教で、キャラの魅力がとてもよく引き立っていて印象深かったです。
蓮メリ要素も今までの作品と比べ濃くなっていて、蓮メリ好きとして楽しめた反面、
今後どのように二人の関係が発展していくのかも気になるところです。
以降の章も楽しく読ませていただこうと思います。改めて、素晴らしい作品をありがとうございました!