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こちら秘封探偵事務所第1章 紅魔郷編   紅魔郷編 第9話

所属カテゴリー: こちら秘封探偵事務所第1章 紅魔郷編

公開日:2015年09月12日 / 最終更新日:2015年09月12日

紅魔郷編 第9話
小さな兵隊さんが二人、ひなたに座ったら
一人が焼けこげになって、残りは一人





―26―


「未来に帰す方法なんて、私に訊かれても知らないわよ」
 その日の夕方、慧音さんに連れられて、私たちは里の東にあるという博麗神社を訪れていた。なんとか元の世界に戻る方法はないかと訊いて見たのだが、霊夢さんの答えはこれである。
「私にできるのは、結界をちょいと緩めて、外の世界に送り出すだけ。その先がどこかなんて知ったこっちゃないし、外に出ていったのをこっちに戻すこともできないわよ」
「……どうする?」
 慧音さんが振り返る。私たちは顔を見合わせ、首を横に振るしかなかった。
 もし外へ出たとして、そこが21世紀初頭の世界では、私たちの暮らしていた21世紀末の世界に戻るのはまず不可能だろう。過去の世界に閉じ込められるよりは、この世界で未来へ戻る方法を探すか機会を待つ方が無難だ。少なくとも来ることはできたわけだし。
「戻らないなら、里で暮らすことね。慧音を頼っておけば、取って食われはしないわよ」
 しっしっ、と邪険に追い払われ、私たちは退散するしかなかった。慧音さんとともに、神社の石段を下りて、夕暮れの野道を里に向かって歩く。
「さて――君たちはこれからどうする?」
「できれば、帰る方法が見つかるまで、里に置いていただければありがたいんですが」
 蓮子の答えに「そうだな」と慧音さんは頷いた。
「――ちょうどいいか。君たちが良ければ、当座の住む場所と仕事を提供しよう」
 それは願ってもない話だ。私たちの科学世紀とは違って、この世界では働かざる者食うべからずの原則が働いていることは容易に想像できる。大学生というモラトリアムの立場は、おそらくこの世界では通用しないだろう。
「どんなお仕事です? 肉体労働はあまり期待されても困りますが」
 蓮子が問うと、慧音さんは「戻ったら説明する」とだけ言って先を急ぐ。
 その後を追いながら、私は相棒を振り向いて、「ねえ蓮子」と小声で耳打ちした。
「なに、メリー」
「――あの博麗神社って、私たちが行ったことある博麗神社と関係あるのかしら?」
 博麗神社という名の神社は、私たちの暮らしていた21世紀末の京都にも存在していて、私たちにとっては何度かサークル活動で足を運んだ、いろいろと思い出深い場所である。
 存在したといっても、京都の博麗神社はとうの昔に廃社になっていて、今は立ち入り禁止の廃墟だけが残っているのだが。そういえば、あの博麗神社の来歴は謎なんだっけ――。
「さて、ね。あの神社が80数年経って廃社になった姿があそこと言われれば、確かに納得できなくもないけど……その場合、この世界一帯が私たちの京都の一部になっちゃうわよ」
 確かにそれも妙な話だ。少なくとも京都の博麗神社の近くに、今、北に見えているあんな大きな山はなかった。本当にここは、私たちの世界の過去と地続きなのだろうか――。
「まあ、そのへんは考えても仕方ないわ。どうせすぐに戻れないなら、この世界の謎は、これからじっくり調べていくわよ。秘封倶楽部としてね」
「はいはい」
 帽子の庇を持ち上げて、いつもの猫のような笑みを浮かべる蓮子。異世界に来ても、結局私たちのやることは普段と変わりないのかもしれない。世界の秘密を暴く――それが私たち秘封倶楽部のあるべき姿なのだ、きっと、どんな時でも。

 里に戻ってきて、慧音さんに案内されたのは、最初に泊まった自警団の建物の近所にある平屋だった。慧音さんの自宅なのかと思ったが、玄関に大きな額が飾られている。暗くなってきている上、達筆で判読が難しかったが、どうやら《寺子屋》と書かれているらしい。
「寺子屋?」
「私が開いた、歴史の学校だ。どうも、なかなか生徒が集まらないんだが」
 建物の中に案内されるのかと思ったら、そちらではなく、慧音さんは建物の裏手に回り込む。そこに、離れとおぼしき建物があった。慧音さんはその引き戸を、力任せに開ける。
「物置にしていた離れだが、ふたり寝起きするぐらいの広さはある。定期的に掃除はしてあるから、すぐにでも使えるはずだ。布団は我が家の予備をあとで持って来る。1枚しかないが、我慢してくれ。厠は寺子屋のものを使ってくれていい。風呂は近くに風呂屋があるから、利用するならあとで案内する」
 広さは上がり框を除けば、八畳一間ぐらいだろうか。部屋の奥に和綴じの書物やら何やらが雑然と積まれていて、体感的にはそれより狭い。元々物置なのだから当然だろうが、竈や囲炉裏のようなものも無いので、部屋としては本当に寝るだけの部屋と言っていいだろう。
「ここを君たちに貸す条件は、寺子屋の仕事を手伝ってくれることだ」
「寺子屋の、ですか」
「ああ。とりあえずは授業用の資料を整理したり、寺子屋の中を掃除したりといった雑用だな。もちろん給与も出す。足りなければ空いた時間で別の仕事を探してくれても構わない。ちょうど、誰か手伝ってくれる人を探していたんだ。とりあえず当座のことだから、本格的に里に腰を落ち着けるなら、改めてちゃんとした住居の手配もしよう。――どうだ?」
 是非もない。「お世話になります」と私たちは同時に頭を下げる。
「ありがとう、こちらも助かる。まあ、生徒も少ないからさほど忙しくはならないだろうが、よろしく頼むよ。――よし、とりあえず夕食にするか」
 嬉しそうな顔で私たちの肩を叩き、慧音さんは歩き出した。――何はともあれ、この世界での生活の足がかりができたことは喜ぶべきだろう。私たちは顔を見合わせ、笑い合った。

 慧音さんの案内で、近くの食堂で夕食をとり、風呂屋で汗を流した。食事や入浴の作法が、科学世紀の京都とあまり変わらないのは助かる。暮らしやすい異世界であることは間違いない。
 その後慧音さんが自宅から布団と毛布、それから当面の着替えを持ってきてくれて、寺子屋の離れがようやく多少は人間の生活空間らしくなった。布団が1枚あるだけで随分印象が違うものである。
「私は今夜は自宅だ。もし夜中に何かあったら、自警団の方に行ってくれ。今夜は小兎姫が詰めている」
「わかりました」
「じゃあ、寺子屋の仕事は明日から、よろしくな。おやすみ」
 行灯に火を入れて、慧音さんは帰っていく。私たちは行灯のぼんやりした光の中、煎餅布団を座布団代わりに腰を下ろして、息を吐く。蓮子はそのままごろりと寝転がった。
「やれやれ、とりあえずこれで人心地ついたってところかしら」
「心配ごとはいくらでもあるけど、あんまり考えても仕方ないわね、実際」
 京都の友人たちや蓮子のご家族はどうしているだろう。私たちは元の京都に帰れるのだろうか。これから先、この文明レベルの遥かに過去な世界でやっていけるのか。心配すればきりがない。結局、どこかで割りきるしかないのだ。
 何となく手持ちぶさたで、私は離れの隅に積み上げられた和綴じの本を手に取った。墨で書かれた肉筆本で、言葉遣いも古くてひどく読み辛いが、どうやら歴史書の類いらしい。そういえばこの寺子屋も、歴史の学校と言っていたっけ。
「歴史、ね……」
 ふと思い出したのは、500年近く幽閉されていたという、紅魔館の地下にいたあの少女のことだった。そういえば結局、フランドール嬢には『そして誰もいなくなった』の最後、犯人の告白を読んであげられないままだった。あの子は私たちが急にいなくなって、怒ったりしていないだろうか。美鈴さんやパチュリーさんが迷惑を被っていないといいのだけれど――。
「蓮子、少し落ち着いたら、改めて紅魔館に挨拶に行かない?」
「……そうね、ちゃんと挨拶しないまま出てきちゃったしね」
 不意に身を起こし、蓮子はひとつ息を吐く。
「ところでメリー。私ね、ずっと気になってることがあるのよ」
「何が?」
「紅魔館のこと。あの館の、あまりに多すぎる謎」
「――時間の流れの矛盾とか?」
「それも、謎のひとつね、ちょっと整理したいんだけど、まとめに付き合ってくれない?」
 布団の上にあぐらをかいて、蓮子は私を見つめる。私は小さく肩を竦めて頷いた。こういうときの蓮子は、とりあえず好きなように喋らせておくに限る。
「あ、何か書くものない? モバイルの電池は貴重だし」
「この中から探すの? 筆記具も慧音さんにお願いすれば良かったわね」
 部屋の隅に雑然と積まれたものの山を見て、私は眉を寄せる。探せば筆の一本ぐらいは埋まってそうだが、硯や墨がなければ無意味だろう。だいたい机もない。
「――ああ、文明の利器たるボールペンが懐かしいわ」
 まさかこの世界にボールペンはあるまい。万年筆ぐらいはあったりするのだろうか?
「仕方ない。紙に書いて整理したかったけど、とりあえず思いついた端から挙げていくわ。メリー、何か気付いたことあったら指摘して」
「了解」
「じゃあいくわよ。――まずは、紅魔館全体の謎」
 そのとき蓮子が次々と列挙していった謎たちを、ここに記憶の限り書き出せば、以下のようになる。

 紅魔館全体の謎
  一、私たちや霊夢さんの体感時間と、里での経過時間の矛盾(一晩で1週間が経過?)
  一、私たちのフランドール嬢の部屋での体感時間と、館の時計の示す時刻の矛盾。
  一、そもそもあの館の面々は、どこからやってきたのか。
  一、西洋の吸血鬼と、東洋風の妖怪、そして人間が同じ洋館で暮らしているのはなぜか。
  一、たったあれだけの人数が暮らすのに、どうしてあれほど館を広くしているのか。
  一、なぜ彼女たちは幻想郷にやって来たのか。
 レミリア・スカーレット嬢の謎
  一、彼女がドラキュラ公の末裔というのは本当か。
  一、500年ほどあの館の主をしているというのは本当か。
  一、フランドール嬢を幽閉しているのは彼女の意志なのか。
  一、パチュリーさん、美鈴さんと彼女の直接の関係とは。
  一、結局彼女は、何のためにあの紅い霧で幻想郷を満たそうとしたのか。
 十六夜咲夜さんの謎
  一、時を操るという彼女の能力はどの程度までその効果範囲を拡張できるのか。
  一、彼女はいつから、なぜレミリア嬢の従者をしているのか。
  一、レミリア嬢の従者となる前の彼女は、いったい何をしていたのか。
  一、20歳かそこらの人間が、なぜ妖怪を従えることができるのか。
 パチュリー・ノーレッジさんの謎
  一、彼女はレミリア嬢といかにして知り合い、あの図書館に籠もるようになったのか。
  一、フランドール嬢の幽閉が彼女の魔法によって為されているならば、レミリア嬢と彼女の付き合いが最長でも100年というのはおかしくないか。
  一、なぜあの広大な図書館の整理を、小悪魔さんひとりに任せているのか。
 紅美鈴さんの謎
  一、彼女はいったい何の妖怪なのか。レミリア嬢やパチュリーさんと彼女の関係は。
  一、彼女はなぜ、紅魔館の紅の字を名に持ちながら、紅魔館内での立場が低いのか。
  一、なぜフランドール嬢の世話は彼女の仕事なのか。
  一、彼女の弾幕の虹色が、フランドール嬢の羽根の色と似ているのに理由はあるか。
 フランドール・スカーレット嬢の謎
  一、彼女がレミリア嬢の妹ならば、なぜ姉とは髪の色も、羽根の形も全く違うのか。
  一、彼女はなぜ地下に幽閉されているのか。
  一、彼女は本当に495年も幽閉されているのか。
  一、彼女が「気が触れている」というのは、どういう意味でか。

「改めて列挙してみると、謎だらけね、あの館」
 蓮子の挙げた謎を指折り数える。これがミステリなら、その全てに合理的解決が用意されるのだが、実際のところ、現実はそうそう全てが理屈で割り切れるものでもないだろう。
「まあでも、ひとつふたつ、現時点である程度推定できることもあるわ」
 と、蓮子は人差し指を立てる。
「たとえば、レミリア嬢の自称、ドラキュラ公の末裔ってとこ。これはたぶん、ただの自称ね」
「というと?」
「今、この世界が西暦2003年頃だとするわよ。ドラキュラ公こと、ワラキア公ヴラド3世は15世紀半ばの人物。レミリア嬢は最低500歳と考えれば、彼女は西暦1500年頃の生まれということになるけれど、それだとドラキュラ公が生きていれば70歳ぐらいの頃に生まれたことになるわ。――末裔と呼ぶには、生まれた時代が近すぎるでしょう。まあ、彼女の下に子孫がいないという意味では末裔と呼ぶのも間違いではないでしょうけど、たとえば私のおじいちゃんが確か前世紀生まれなんだけど、私がその末裔と名乗るのは変じゃない?」
 確かにそうだ。70歳違いなら、せいぜい曾孫だろう。そのぐらいの近い血縁なら、わざわざ末裔とは自称すまい。
「――ちょっと待って蓮子。それなのにレミリア嬢が、末裔を名乗ってるってことは」
「彼女の500歳以上というのも、ただの自称の可能性があるわね」
「レミリア嬢は、もっと若いってこと? じゃあ、その妹のフランドール嬢は――」
「だから、本当に495年も幽閉されているのか、って問題になるわけよ。まして、私たちはあの館で時間の流れが狂ったのを体験したのよ。館での一晩が里では一週間になるっていうね。――だとすれば、その逆もあり得ると思わない? 館での495年が、外ではたった数年、ひょっとしたら数日なんていうことも」
「――――」
 私はただ唸るしかない。あの館の時間経過がおかしくなっていたとすれば、それは咲夜さんの仕業に違いないだろう。フランドール嬢の部屋に張られていたあの強固な結界も、結界内の時間操作のためだったのだろうか。だとすれば館全体の結界も――。
「ちょっと整理させて、蓮子」
「どうぞ」
「私たちが紅魔館に迷い込んで、四阿でディナーを食べたところまでは同じ日と仮定するわよ。あのとき私たちが前庭に出た時点で、咲夜さんは午後八時過ぎだって言ったわ」
「そうね。そしてあのときの月は満月だったわ」
「それから食事をとって、レミリア嬢が霧を出し、私たちはフランドール嬢の部屋に潜り込んで、あの部屋に6時間以上は居たはずよね。なのにその後、屋上に上がったときには、時刻は10時半前を指していたわ。これはつまり――フランドール嬢の部屋にいた間に、外では実は1週間が経ってしまっていたってことなのかしら?」
 私の問いに、蓮子は肩を竦める。
「メリー、それは話が逆だわ」
「逆?」
「冷静に考えれば解るはずよ。メリーの考えだと、フランドール嬢の部屋は浦島太郎の竜宮城ということになる。中の6時間が外の1週間だとすればね。だけど、フランドール嬢はあの部屋に495年いるのよ。6時間が1週間になる部屋に495年いるとすれば、外ではいったい何年が経過してしまうのかしら?」
「――――」
 確かにそうだ。これでは先ほどのレミリア嬢とフランドール嬢は自称よりも若い説と矛盾してしまう。前提が間違っているのか、それとも――。
「だから、フランドール嬢の部屋ではメリーの考えたのと逆の現象が起こっていたと考えた方がいいわ。即ち、私たちがあの部屋で過ごした6時間以上は、部屋の外ではほんの数分、あるいは1分にも満たないような短時間だった――って」
「そうか……そうね」
「美鈴さんが来たのが1週間前、っていうフランドール嬢の言葉も考えれば、そういうことになるはずだわ。私たちの体感で、美鈴さんは数分からせいぜい10分ぐらい前にフランドール嬢の部屋を出てきた。しかしたったそれだけの時間で、フランドール嬢の体感では既に1週間が経過していた――とすれば」
「あの部屋の495年は、部屋の外では相当に圧縮される――」
「そういうこと。メリーの見た結界内部の時間が狂ってたんでしょうね」
「……じゃあ、霊夢さんの体感時間とレミリア嬢が霧を出してからの経過時間の問題は?」
「その答えは、もうメリーはその目で視て知っているんじゃないの?」
「――――」
 私は息を飲む。――そうか。だから館全体に結界が張られていたのか。
「つまり……館の敷地の中では、また外とは別の時間が流れていた。レミリア嬢が霧を出してから、霊夢さんと戦い終えるまでの間は、あの館の中ではせいぜい3時間かそこら――だけどその間に、館の外では1週間が経過していた」
「そういうこと。だから霊夢さんも美鈴さんを倒して館の敷地内に足を踏み入れた時点でその時間経過に取り込まれた。霊夢さんが数日間行方不明だったっていうのは、そのせいね」
 要するに、あの館の中では時間経過がマトリョーシカ状になっていたことになる。
 館の外では1週間が経過する間、館の内部では3時間しか経過していない。その館の一室、フランドール嬢の部屋は、館の内部よりも遥かに速く時間が流れている。ややこしい話だ。
「……でも、それが咲夜さんの仕業だとして、いったいどうしてそんなことを?」
「そう、なぜなのか――それこそが問題なのよね。まあ、館の一晩が外の1週間になったのは、霧が幻想郷全体に広がるには時間がかかるから、お嬢様がその間退屈しないように、という咲夜さんの心遣いだと思うんだけど。問題はフランドール嬢の部屋の方。なぜフランドール嬢の部屋の時間を加速させる必要があったのか――」
 蓮子はまたごろりと寝転んで、小さく呟いた。
「一応、さっき挙げた謎をだいたい説明できる仮説らしきものはあるんだけどね」
「どんな?」
「ピースが足りないから、言ってもボロが出るわ。だから言わない」
「そんなもったいぶる名探偵みたいな」
「あら、せっかくだから名探偵らしく振る舞ってみたいじゃない。ま、そうね。メリー向けのとっかかりを出せば――メリーの相対性精神学が、全ての謎の鍵になるはずだわ」
「相対性精神学が? 確かにこの世界は、相対性精神学的原理で成り立ってるみたいだけど」
「あとは自分で考えて頂戴。――そういえば、あのコート、咲夜さんに返さなくて良かったのかしら」
 蓮子は壁に引っかけたコートを見やって言う。紅魔館で蓮子が咲夜さんから借りたコートは、時計台で弾幕ごっこをしているときに着ていたので、そのまま持って来る格好になってしまっていた。私のストールも同様だ。
「ああ、これ返しに行くついでにもうちょっと色々探ればいいんだわ。メリー、そうしましょ」
「はいはい」
 相棒の好奇心が満たされるまでは、どうやら付き合うしかなさそうである。
 それもまたいつもの秘封倶楽部の形で、私はどこか安心した気分で小さく笑った。

 ――なお、私たちが1枚の布団でどうやって寝たのかは詳述しないことにする。





―27―


 それから、私たちの幻想郷での生活が始まった。
 私たちが慧音さんの寺子屋を手伝いながら、科学世紀とは勝手の違う人間の里での生活に悪戦苦闘する様を書こうと思えば、いくらでも筆を費やすことができるが、ここでは触れない。この原稿は、紅霧異変についての物語だからだ。
 だから、次に触れるのは、私たちが里で暮らし始めて1週間後――稗田阿求さんとともに、博麗神社へと趣いたときのことになる。

「君たちを、紹介したい人がいる」
 その日の朝、食卓を囲みながら、慧音さんがおもむろにそう切り出した。
「どちら様です?」
「向こうに、やたらと大きいお屋敷があるだろう。あそこは稗田家といって、この里の象徴たる阿礼乙女が住んでいる。彼女が、君たちに一度会いたいらしい」
「阿礼乙女?」
「九代目阿礼乙女、稗田阿求殿だ。端的に言えば、この幻想郷の記録者だな。幻想郷での出来事を記録し、編纂するのを生業としている。私の歴史家としての仕事も、彼女の協力あってこそのものだ。――稗田阿礼は知っているか?」
「古事記の編纂者ですね」
 蓮子が即座にそう答える。慧音さんは頷いた。
「彼女はその生まれ変わりだよ。代々、この幻想郷の記録者を担っている」
 相変わらず、この世界はなんでもありだなあ、と私は思う。今度は古代史の有名人の輪廻転生ときたか。そもそも稗田阿礼は実在を疑う説もあったような気がするが。
「その、阿礼乙女さんが、私たちに何用です?」
「例の異変の話を聞きたいそうだ。ほら、吸血鬼が霧を出した異変。君たちが良ければ、このあとすぐにでも連れて行くが、構わないか?」
「寺子屋は?」
「今日は休みだ」
 それなら是非もない。私たちが頷くと、よし、と慧音さんは満足げに微笑む。
「それじゃあ、食べ終わったら支度してくれ。博麗神社まで行くからな」
「え? あのお屋敷に行くんじゃ」
「霊夢が異変の武勇伝を伝えに来ないから、阿求殿が自分から出向くんだそうだ」
 私たちは、きょとんと顔を見合わせた。

 そんなわけで朝食後、私たちは稗田家の広大な屋敷の門の前にいた。あの館に関係するものはとりあえず持っていくべきだろうということで、蓮子はあのコートを手から下げている。真夏なので着るには暑いのだ。
 里の中でも、ひときわ大きなこの屋敷は、里のどこにいても目立つ。よほどの有力者が住んでいるのだろう、というのは想像していたが、里の象徴とは、いったいどんな神々しい女性が出てくるのか――と、慧音さんの背後で私は少し緊張していたのだが、
「おはようございます、慧音さん」
「おはようございます」
 門から出てきたのは、中学生にもなっていないような、小柄な少女だった。カラフルな着物を着て、ぺこりと慧音さんに頭を下げたその少女は、とても里の象徴というような特別な存在には見えない。
「そちらが?」
「ああ、例の異変に居合わせた外来人です。寺子屋を手伝ってもらっています」
 少女――阿求さんは私たちに視線を向け、にっこりと微笑む。
「初めまして、幻想郷へようこそ。九代目阿礼乙女、稗田阿求と申します」
「宇佐見蓮子です」
「マエリベリー・ハーンです。メリーと呼んでください」
「蓮子さんに、メリーさんですね。何でも未来からいらしたとか……お話はあとからゆっくり伺いますので、どうぞよろしくお願いします。まずは、博麗神社まで向かいましょう」
 きびきびと先頭に立って、阿求さんは歩き出す。私たちがそれに着いて行くと、背後から大勢の女中さんたちが現れ、「いってらっしゃいませ」と統率のとれた礼で送り出してくれた。それでようやく、彼女が相当なVIPであることを私も理解する。
「――うん?」
 と、不意に阿求さんがぴたりと足を止め、私たちを振り向いた。
「れんこ、という名前は、蓮の子と書くのですか?」
「え? ええ、そうですけど」
 阿求さんの唐突な問いに、蓮子が首を傾げる。阿求さんは「失礼」といきなり屋敷の方へ足早に引き返していった。呆気にとられて私たちがそれを見送っていると、ほどなく彼女はまた息せき切ってこちらに戻って来る。
「メリーさん、まさかとは思いますが、この紙片に見覚えは?」
 そう言って阿求さんが差し出したのは、ひどく古びたメモ用紙だった。
『夜の竹林ってこんなに迷う物だったかしら?――』
 そこに記された手書きの文字は――間違いない、私の字だ。私は呆然とそのメモを見下ろしながら記憶をひっくり返し――ああ、そうだ、と思い出す。確か、夢の中で不思議な竹林に迷い込んだとき、手持ちぶさたにこんなメモを書いた覚えがある――。
「メリー、これって」
「……いつか蓮子に話した、竹林の夢の中で書いたものだわ」
「夢の中……ですか」
 阿求さんは首を傾げる。私も、夢の中で書いたものが現実に出てきて、どう判断したものか首を傾げるしかない。いや、夢に視た紅魔館にも私たちは行ったのだから、やはり私があの頃に夢で視ていたのは、この幻想郷だったのか――。
「確かに、貴女の書いたもの、なんですね?」
「え、ええ……」
 阿求さんに念を押されて、私は頷く。阿求さんは不思議そうに首を傾げた。
「この紙片が、迷いの竹林で発見されたのは――今から数百年前のことです」

 謎は増えたが、さりとて今はその問題は棚上げするしかなかった。
「メリー、夢の中でタイムスリップしてたんじゃないの、やっぱり」
「じゃあ、過去に飛ばされたのもあの琥珀のせいじゃなく私のせい?」
「かもね。――まあ、この件はおいおい考えていきましょ。ひょっとしたらメリーがこっちの世界で視る夢に、元の世界に戻る手掛かりがあるかもしれないし」
「……そういえば、こっちに来てから夢を視てない気がするわ。目が覚めた瞬間に忘れているだけかもしれないけれど……」
 そんなことを蓮子と言い合いながら、私たちは阿求さんと慧音さんの後ろを歩いて、博麗神社へ続く石段を上る。長い石段を上りきって、鳥居をくぐると、境内を掃除する霊夢さんの姿があった。
「あら、参拝客? ……じゃなさそうね」
「おはよう」
「おはようございます」
「慧音に阿求に、こないだの外来人? 何の用よ、何か異変でもあった?」
「異変は異変でも、先日の霧の異変の件です。まだ詳しい話を伺ってませんので」
「あー、すっかり忘れてたわ。いや、このところアイツがしょっちゅう押しかけてきて」
 霊夢さんは頭を掻きながら、そうため息をつく。
「アイツとは?」
「レミリア――こないだ退治した吸血鬼よ。何が気に入ったんだが、吸血鬼のくせに日傘差して、昼間っから神社に押しかけてくるんだもの。妖怪に寄りつかれたら参拝客が減るってのにこっちの言うことなんか聞きやしないんだから」
 憤然と言う霊夢さんに、阿求さんは「では、ここで待っていれば吸血鬼当人のお話も伺えるということですね」とにっこり笑う。霊夢さんは大きく息を吐き出した。
「いいわ、とりあえず上がって。茶ぐらいなら出すわよ」





―28―


 博麗神社の一室。霊夢さんが滔々と、異変解決の経緯を語るのに、阿求さんが聞き入っている。私たちはそこに同席させてもらっていた。私が見ていない、咲夜さんとの戦いも霊夢さんの口から詳細が語られる。
「最初はびっくりしたわ。突然目の前に無数のナイフが現れて飛んでくるんだもの。危ないったらありゃしない。時間を止めて、その間にばらまいたり回収したりしてたみたいだけど」
「よく、そんな敵に勝てましたね」
「避けられない弾幕はルール違反だからね。向こうが本気で殺す気なら最初で殺されてたと思うわ。でも、勝負は弾幕ごっこ。避ければいいのよ、避ければ」
 シンプル極まりない解答である。しかし咲夜さんも、主を倒しに来た相手に、律儀にルールに則って戦う義理もなかったのではないだろうか――とは思わなくもない。いや、お嬢様もルールの上での決闘を納得していたようだったから、それでいいのかもしれないが。
「ま、ともかくそうやって咲夜を倒して、レミリアのところに辿り着いたんだけど。あんたたち、どこから見てたの?」
 と、霊夢さんが私たちの方を振り返る。
「美鈴さんとの戦いと、お嬢様との戦いですわ」
「じゃあ、魔理沙がやられたところは?」
「あの黒い魔法使いですよね? ばっちり見ました」
 蓮子の答えに、霊夢さんが頷く。と――。
「おう、呼んだか?」
 突然襖ががらりと開き、新たな客人がその場に割り込んできた。噂をすればなんとやら、あのときの魔法使いの少女である。改めて間近で見ると、彼女も阿求さんと変わらないぐらい小柄だ。小学生にも高校生にも見えるところは霊夢さんと同じだけれども。
「魔理沙? あんた勝手に入ってこないでよ」
「挨拶はしたぜ、たった今な」
「してないでしょうが」
「細かいことは気にすんなよ。――げ、慧音」
「魔理沙じゃないか。元気にしていたか。たまには実家に顔を出したらどうだ」
「うるさいな、こちとら勘当された身だぜ。――で、阿求がいるってことは、こないだの吸血鬼退治の話か? で、そこの人間ふたりは何者だよ」
「質問がいちいち多いのよあんたは。そこのふたりは吸血鬼に食われそうになってた哀れな外来人。あんたがレミリアに負けたって事実の証人よ」
「ぐぬ。あれはちょっと油断しただけだぜ」
 魔法使い――魔理沙さんは頬を膨らませ、それから私たちに向き直った。
「霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ。よろしくな」
 にっ、と笑って手を差し出す魔理沙さんに、蓮子と私は順に握手をする。彼女もまた、随分と変わり者のようだ。と、阿求さんが魔理沙さんを見やる。
「ちょうどいいですね。魔理沙さんも吸血鬼との勝負の話をお願いします」
「おう、なんでも聞いてくれ――と言いたいとこだが、負けたからなあ。負け戦の話をするのは性に合わんぜ。言い訳になる」
「別に言い訳すればいいじゃない。私もこいつらもあんたの負けっぷりは見てるんだから、なんぼでも訂正してあげるわよ」
「うるせーよ! ちぇ、まあいいか。つか、その前にパチュリーの奴との戦いの話させろ。霊夢はあいつと戦ってないだろ?」
 そう勢い込んで、魔理沙さんは図書館での小悪魔さんとパチュリーさんとの戦いについて意気揚々と語り出す。それはそれで面白い話だったが、ここではその話に紙幅を費やすことはしない。ひとつだけ書いておくとすれば、やはりパチュリーさんの七曜の魔法とは、五行思想をアレンジしたものであるらしい、ということだ。
 ――そんな調子で、阿求さんによる紅霧異変の聞き取り調査は、昼頃まで及んだ。

「ところで、結局今回の異変の首謀者――レミリア・スカーレットでしたか。半年前の吸血鬼異変も、やはり彼女の仕業だったのでしょうか」
「それは知らないわよ。私はあの異変はノータッチで、勝手に解決されちゃったもの。ま、他に幻想郷に吸血鬼もいないでしょ。いや――湖に他に1匹いた気もするけど、あれは雑魚だったしなあ。むしろ阿求、あんたが詳しく聞いてないの?」
 聞き取りが一段落したところで、阿求さんがそんなことを言い、霊夢さんが首を傾げた。
「いえ、私も吸血鬼異変については、妖怪の賢者から概略を聞いただけでして――首謀者の名前までは教えていただけませんでした」
 そういえば、慧音さんも吸血鬼異変というのが以前あったと前に言っていた。弾幕ごっこという決闘方式が定められるきっかけになったんだったか。
「レミリア嬢が、世界を征服してみようとしたけど、途中で飽きて止めたと言っていましたね」 蓮子がそう口を挟む。確かにそんなことを言っていた。なるほど、それが吸血鬼異変だとすれば筋が通る。しかし阿求さんは、不思議そうに首を傾げた。
「しかし――湖の畔にあの館が現れたのは、吸血鬼異変の後のはずなんですよね」
「え?」
 蓮子が愕然と目を見開いた。霊夢さんと魔理沙さん、慧音さんも首を傾げる。
「そうだったっけか?」
「そうです。職漁師から、湖に妙な館が現れたという話が聞こえてきたのは、吸血鬼異変が解決したと、私が妖怪の賢者から聞かされた後のことです。少なくとも、館が現れてから吸血鬼異変が起こったのではありません」
「阿求殿の言うことなら確かだろう」
「どっちが先だったかなんて、いまさら覚えてないわよねえ」
「吸血鬼が暴れたって話のせいで、記憶が上書きされちまったかな」
 慧音さんが言い添え、霊夢さんと魔理沙さんが顔を見合わせる。と、蓮子が小さく唸って、何か難しい顔で考え込み始めた。
「そもそもあいつら、どこから来たんだ? お前ら、何か聞いてないのか」
「え? あ、いえ、紅魔館の出自については何とも……」
 突然魔理沙さんに話を振られ、私は慌てて首を横に振る。
「というか、あの館にもうひとり吸血鬼がいるんですけど」
「え?」
 霊夢さんと魔理沙さんが顔を見合わせる。やはりフランドール嬢のことは知らないらしい。
 私がフランドール嬢のことを説明しようと、口を開きかけたところで、
「あらあら、参拝客のいない神社のくせに、今日は随分と千客万来のようね?」
 開け放たれた襖の向こうから、また新たな声が割り込んだ。聞き覚えのある傲岸不遜なこの声は、聞き間違えるはずもない。レミリア嬢だ。折りたたんだ日傘を手に、お嬢様はずかずかと部屋に入り込んでくる。霊夢さんが顔をしかめた。
「げ、あんたまた来たの?」
「来てやったのよ。光栄に思いなさい。紅茶がいいわ」
「だから緑茶しか無いっての」
「準備が悪い神社ね。人里から紅茶を持ってきなさいよ」
「お前、そんなに家開けて大丈夫なのか?」
「咲夜に任せてるから大丈夫よ」
「きっと大丈夫じゃないからすぐ帰れ」
 霊夢さんの邪険な言葉も意に介さず、我が物顔で畳に腰を下ろしたレミリア嬢は、そこで私たちに気付き、「あら」と眉を持ち上げる。
「いつぞやの人間じゃない。――ああ、そうそう、パチェが怒っていたわよ」
「え?」
「地下の結界が、誰かさんのせいで危うく壊されかけたとか何とか」
「え、あ、ああ……す、すみません」
 私は頭を下げる。私があの結界の緩みをこじ開けたせいで、フランドール嬢の部屋の結界が緩んでしまったのだろうか。だとすれば私たちが侵入した時点であの部屋の時間は……いや、しかしそれだと館の時計の時間と辻褄が合わないはずだ。じゃあ、結界を壊したのは――?
 私が考え込んでいると、阿求さんが「異変の首謀者のレミリアさんですか。吸血鬼について、先日の異変や吸血鬼異変について、是非詳しく」と目を輝かせて身を乗り出している。慧音さんは警戒心を強めた顔でレミリア嬢を見つめ、霊夢さんはため息をつき、魔理沙さんは腕を組んで口笛を吹いていた。――と。
 突然、大きな雷鳴が轟き渡って、私たちは皆振り返った。夕立? こんな時間に? と縁側の方に視線を向けるが、雲が日射しを遮っているだけで雨は降っていない。
「夕立……じゃなさそうね」
「なんだありゃ?」
 魔理沙さんが縁側の方に出て、目の上に手をかざして遠くを見やる。
 皆が縁側に出てきて、その奇妙な光景を目にした。――博麗神社から北西の方角、妖怪の山の麓のあたりだけに黒雲が集まり、そこだけ土砂降りの雷雨になっているのだ。
「あれ、私んちの方じゃないの。私、雨の中は歩けないのに」
 レミリア嬢がそんなことを言う。そういえば吸血鬼は流水がダメなんだっけ。
「ほんとね。あんた、何か呪われた?」
「吸血鬼なんて、もともと呪われてるぜ」
「あれじゃ帰れないじゃない」
「あんた追い出されたんじゃないの?」
「何を言うのよ、紅魔館の主に向かって。あれはむしろ――中から出さないようにしてるわね」
 目を細めてレミリア嬢が言い、霊夢さんと魔理沙さんが顔を見合わせる。
「そういえば、もう1匹吸血鬼がいるとか言ってたな。面白そうだぜ」
「仕方ないわね、様子を見に行くわ。あんたに神社に居座られても困るし」
 霊夢さんが肩を竦め、魔理沙さんは楽しそうに箒を取り出す。
「阿求、慧音、このお嬢様のことお願いね」
「あ、ああ」
 霊夢さんが飛び立ち、魔理沙さんも箒にまたがる。――と。
「魔理沙さん! 乗せてください!」
 突然そんなことを言い出したのは、我が相棒だった。
「ちょ、蓮子?」
「おいおい、普通の人間が吸血鬼の館に忍び込んだら命がいくつあっても足りんぜ」
「先日お邪魔したから大丈夫ですわ。ほら、メリーも行くわよ!」
「え、ちょ、私も?」
「おいおい、3人乗りは定員オーバーだぜ」
「いいから、飛ばしてください!」
「――わかったわかった、乗れよ!」
 根負けしように魔理沙さんが箒の後部を開ける。蓮子はそこにまたがり、私を手招きした。こうなったら毒を食らわば何とやらだ。私も蓮子の後ろにまたがり、蓮子にしがみつく。
「おっしゃ、飛ばすぜ!」
 ふわりと魔理沙さんの箒が浮かび上がり、星屑をまき散らして飛び立った。
 3人乗りの箒は、まっすぐに飛んでいく。雨の降りしきる、紅魔館へと向かって。







【読者への挑戦状】

 本格ミステリを読んでいて、《読者への挑戦状》のところでちゃんと真相を推理したことのない不真面目な読者である私だが、ここでは敢えて、これを挿入させて頂こうと思う。
 相棒がこのあと披露した推理の際に用いた情報は、ここまでに全て記述したはずだ。
 だから読者の貴方も、理屈の上では相棒と同じ推理を展開できる……はずである。
 保証はしない。そもそも相棒のあの推理は、論理というよりも想像の飛躍による辻褄合わせ、どちらかといえばトンデモな与太話の類いである。
 それでも良ければ、貴方も主に以下の3点について考えてみてほしい。

 1、紅霧異変は何のために起こされたのか?
 2、フランドール・スカーレットはなぜ幽閉されているのか?
 3、パチュリー・ノーレッジ、十六夜咲夜、紅美鈴のそれぞれ果たした役割とは?

 これは本格ミステリやクイズではないから、厳密な正解はない。なので、蓮子よりもっともらしい真相を思いついた人は、事務所に来て蓮子に対して自慢しても良い。
 ヒントをひとつ挙げるとすれば、常識に囚われないことである、とだけは言っておこう。
 なお、宇佐見菫子さんのこと、私たちが未来から来たこと、私のメモが過去で見つかったことは、この後の蓮子の推理に直接は関係しないことを付記しておく。これは紅魔館の面々と、紅魔館内で起きた事象についての謎解きであり、私たち自身の問題はまた別の話だ。
 宇佐見蓮子の想像力に、貴方は勝てるのか。ご健闘を祈る。

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この小説へのコメント

  1. EX戦ktkr!!

    『――なお、私たちが1枚の布団でどうやって寝たのかは詳述しないことにする。』

    ってのがなんともwww

  2. 次EXですか、楽しみです。

    >他に幻想郷に吸血鬼もいないでしょ。いや ――湖に他に1匹いた気もするけど、あれは雑魚だったしなあ。
    ん?
    もしかして二次創作でたまに実は強い的なことになってる2面中b・・・

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